第1回 103万円→160万円に!“新・年収の壁”の全体像

FP
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🧩 そもそも「年収の壁」ってなに?

「年収の壁」とは、働き方や収入額によって、税金や社会保険料の負担が急に増えたり、控除が受けられなくなったりして、手取りが減る境目(ボーダーライン)のことをいいます。

これまでは「103万円の壁」がよく知られていましたが、2025年の税制改正でこの壁が大きく変わりました。


📈 新しい「年収の壁」はこう変わった!

種類改正前改正後内容のポイント
所得税の壁103万円160万円本人に所得税がかかり始めるライン。給与所得控除・基礎控除の引き上げによる。
扶養控除・配偶者控除の壁103万円123万円家族の控除が受けられるかどうかの基準が引き上げ。
住民税の壁100万円110万円住民税の非課税ライン。自治体によって差あり。
社会保険の壁106万円・130万円(現行維持)いずれも時限的特例あり。今後撤廃・見直し予定。

💡 所得税の壁が「160万円」になった理由

所得税の計算では、次の2つの控除が大きく関係します。

  • 給与所得控除:働くための必要経費にあたる控除
     → 55万円 → 65万円 に引き上げ
  • 基礎控除:誰でも受けられる控除
     → 48万円 → 95万円 に引き上げ

この結果、
65万円 + 95万円 = 160万円
となり、年収160万円を超えると所得税がかかる仕組みになりました。


👨‍👩‍👧 配偶者控除・扶養控除の見直し

「配偶者控除」や「扶養控除」も改正されています。
夫婦・家族で働く場合、それぞれの年収によって控除額が変わる点に注意が必要です。

  • 配偶者控除の対象:配偶者の年収123万円以下
  • 配偶者特別控除:年収160万円以下で満額、201万円まで段階的に減少
  • 新設「特定親族特別控除」:19歳〜22歳の子が対象。年収150万円までは控除満額(63万円)。

この新設控除により、大学生世代の「働き控え」を緩和する狙いがあります。


🏛 住民税・社会保険の壁も要チェック

  • 住民税の非課税ラインは110万円に引き上げ。
  • 社会保険(106万円・130万円)は当面変更なし。ただし、企業規模や勤務条件により加入対象が拡大中で、今後3年以内に見直し予定です。

🔍 まとめ:「“働き控え”から“働き方選択”の時代へ」

「年収の壁」とは、単に“損をしないライン”ではなく、
家族の税・社会保険のバランスを見ながら、自分に合った働き方を選ぶ指標です。

改正によって、パートやアルバイトの方も160万円までなら安心して働けるようになりましたが、
社会保険や住民税の扱いは人によって異なるため、勤務先への確認も大切です。


🗒️ 出典:企業実務2025年7月号 特別記事「徹底解説!『新・年収の壁』を攻略する」澁谷典彦税理士事務所 澁谷典彦 氏


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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