税制改正大綱のどこを見れば「事業承継の流れ」が読めるのか

FP
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毎年公表される税制改正大綱は分量も多く、専門用語も多いため、「結局どこを見ればよいのかわからない」と感じる方も少なくありません。
しかし、事業承継に関する税制の方向性は、すべてを細かく読まなくても、いくつかのポイントを押さえることで十分に読み取ることができます。重要なのは、個別の改正内容よりも、その背景や位置づけをどう読むかです。

本文よりも先に「改正の背景」を見る

税制改正大綱を読む際、多くの人は具体的な制度改正の条文から目を通しがちです。しかし、事業承継の流れを読むうえで重要なのは、本文よりもその前に書かれている「改正の背景」や「基本的考え方」です。
ここには、なぜその改正が必要とされたのか、どのような課題意識があるのかが示されています。事業承継に関する記述がどの文脈で登場しているかを見ることで、政策の方向性が見えてきます。

キーワードの変化に注目する

税制改正大綱では、毎年似たような表現が使われているようでいて、実はキーワードが少しずつ変化しています。
例えば、「円滑な事業承継」「雇用の維持」「地域経済」といった言葉が、どの程度強調されているか、あるいは新たな表現が加わっていないかに注目すると、政策の重点がどこに置かれているのかを読み取ることができます。
言葉の変化は、制度変更の予兆であることも少なくありません。

事業承継はどの章に置かれているか

税制改正大綱では、事業承継に関する記述がどの章に配置されているかも重要な手がかりになります。
中小企業対策の一部として扱われているのか、成長戦略や産業政策の文脈で語られているのかによって、事業承継に期待されている役割は異なります。章立てや周辺テーマとの関係を見ることで、単なる制度改正以上の意味を読み取ることができます。

「今回は見送り」の扱い方

税制改正大綱では、実際に改正される項目だけでなく、「今回は見送る」「引き続き検討する」といった表現も重要です。
事業承継に関する論点が繰り返し検討項目として挙げられている場合、将来的な制度変更の可能性を示唆していることがあります。改正されなかったからといって関係がないと判断するのではなく、なぜ見送られたのかを考えることが、流れを読むうえで欠かせません。

結論

税制改正大綱から事業承継の流れを読むためには、細かな制度改正を追いかける必要はありません。
改正の背景、キーワードの変化、章立ての位置づけ、見送り項目といったポイントを押さえることで、政策の方向性は十分に読み取れます。税制改正を単なる情報として消費するのではなく、事業承継を考えるための材料として活用する姿勢が重要です。

参考

・日本経済新聞「M&Aは特別な手段ではない」PwCコンサルティング パートナー 久木田光明(2025年12月16日)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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