生命保険と税金のかしこい付き合い方(第6回・最終回)

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

FP・税理士が見る生命保険の本当の使い方

ここまで全5回にわたり、生命保険の基本、必要保障額の考え方、控除制度の実務、iDeCoやNISAとの比較、商品選びと解約リスクについて整理してきました。最終回では、FP・税理士の視点から「生命保険をどう位置づければよいのか」を総合的にまとめます。


1. 生命保険の本来の役割

生命保険はあくまで「万が一のときに家族の生活を守るための保障」が主目的です。
税制優遇や貯蓄性を強調されることもありますが、最優先すべきは残された家族の安心
過大な保障は家計の負担になり、過小な保障は不安を残します。ライフプランに応じた適切な保障額が基本です。


2. 節税効果は副次的

生命保険料控除による節税効果は、年間8万円の保険料で最大控除額を得ても所得税4万円+住民税2.8万円分に限られます。
高所得者には意味がありますが、所得が低い層では「節税よりも保険料負担が重い」ケースもあり得ます。

結論:節税は“おまけ”であって、加入の理由にはならない。


3. iDeCo・NISAとの使い分け

資産形成と節税を目的とするなら、まずiDeCoとNISAを優先するのが合理的です。

  • iDeCo:掛金全額控除+運用益非課税。老後資金準備に直結。
  • NISA:運用益非課税。流動性もあり長期投資に向く。
  • 生命保険:保障を確保しつつ控除枠を調整する「補完的な手段」。

4. 商品選びの鉄則

  • 基本は 掛け捨て型の定期保険 でシンプルに。
  • 特約をつけすぎず、必要最小限の保障を確保。
  • 解約返戻金を期待するなら返戻率と期間を必ず確認。
  • 「貯蓄は保険でなく投資で行う」発想を持つと効率的。

5. ライフプランとの連動

生命保険は一度入って終わりではありません。

  • 子どもの成長
  • 住宅ローン返済の進捗
  • 配偶者の就労
    こうしたライフイベントの変化に応じて、必要保障額を定期的に見直すことが大切です。

6. FP・税理士からの最終アドバイス

  • 保障を軸に、節税は副次効果と考える
  • 資産形成はiDeCo・NISAを優先
  • 生命保険は「足りない保障を補う手段」
    この3点を意識することで、家計に無理のない形で安心と節税の両方を得ることができます。

まとめ

生命保険は「高コスト・低利回り」と言われることもありますが、正しく選び、正しく位置づければ、家族の生活を守る強力なツールになります。
保障・節税・資産形成をバランスよく組み合わせることが、これからの時代に求められる生命保険との付き合い方といえるでしょう。


📌 参考記事
「生命保険、所得控除の効果は」日本経済新聞(2025年9月13日 朝刊)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました