生命保険と税金のかしこい付き合い方(第5回)

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商品選びと解約リスク

生命保険は「家族の生活を守るための保障」が第一目的ですが、実際に商品を選ぶ段階になると迷うことが多いものです。保障内容、特約、解約返戻金の有無など、種類はさまざま。さらに、途中で解約した場合に損をしてしまうこともあります。今回は、商品選びのポイントと解約時のリスクを整理します。


1. シンプルな死亡保険を基本に

生命保険はシンプルで分かりやすい商品を基本に考えるのがおすすめです。

  • 定期保険(掛け捨て型)
    一定期間だけ大きな保障を確保できる。保険料は安く、子育て期や住宅ローン返済中に有効。
  • 終身保険
    一生涯の保障が得られる。解約返戻金があるため貯蓄性があるが、その分保険料は高い。

特約をつけすぎると保険料がかさみ、複雑になりがちです。必要な保障に絞ることがコストを抑えるコツです。


2. 解約返戻金の仕組み

生命保険には「解約返戻金」があるものがあります。これは、契約を途中で解約した際に払い込んだ保険料の一部が戻ってくる仕組みです。

ただし注意点があります。

  • 契約から数年以内に解約すると、返戻金が払込総額を大きく下回ることが多い。
  • 長期間払い続けて初めて、返戻率が100%を超える商品もある。
  • 元本割れしない商品もあるが、利回りは低め。

3. 途中解約リスク

途中解約はライフプランの変化に応じて必要になる場合がありますが、以下のリスクを理解しておきましょう。

  • 元本割れ:短期で解約すると払い損になる可能性大。
  • 保障の空白期間:解約すると当然保障がなくなるため、再加入時に年齢や健康状態によっては保険料が高騰する。
  • 節税効果の消失:控除を受けられるのは保険料を払っている期間のみ。解約すれば節税効果も途切れます。

4. 商品選びのチェックポイント

生命保険を選ぶ際には、次の観点をチェックすると安心です。

  • 保険料は「将来収入が減っても払える範囲」か
  • 保障額は「過不足なく」設定されているか
  • 解約返戻金の有無と、その返戻率を理解しているか
  • 控除目的なら「年間8万円程度」で調整できるか

5. FP・税理士からのアドバイス

生命保険は「保障」と「貯蓄」を一緒に考えると複雑になりがちです。基本は保障はシンプルに、貯蓄はiDeCoやNISAで行うという切り分けが効率的。

もし「途中で解約する可能性がある」と思うなら、解約返戻金の条件をしっかり確認し、元本割れしない商品や定期保険を優先するとリスクを抑えられます。


まとめ

生命保険はシンプルな商品を選び、無理なく払い続けられる範囲で保障を確保することが最も重要です。
解約時のリスクを理解したうえで契約すれば、「損をした」と後悔する可能性も減ります。


👉 次回(第6回・最終回)は、「FP・税理士が見る生命保険の本当の使い方」として、節税・保障・資産形成をトータルでどう組み合わせるべきかをまとめます。


(参考 2025年9月13日付日経新聞朝刊)

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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