日銀がETF・REITの売却に踏み出し、株式市場の「政策依存」が後退しつつあります。では、その後の日本株市場を支えるのは誰か?
答えのひとつが、海外投資家です。
東証の統計では、売買代金に占める海外投資家の割合は6割前後と最大シェア。日銀の下支えが縮小するなか、「海外マネーの動向が市場を決める時代」がさらに鮮明になってきます。
1. なぜ海外投資家が主役になるのか
1-1. 売買シェアの大きさ
海外勢はもともと日本株市場の最大プレイヤー。
- 売買代金の過半数を占める
- 取引回転率も高く、相場のトレンドをつくりやすい
1-2. 日銀の退場と空白
- ETF買い入れで日銀が「買い手」となっていた
- 出口戦略により、その存在感が徐々に消える
- 結果として、需給面での空白を埋めるのは海外投資家
2. 海外投資家の視点 ― 何を見て日本株を買うのか?
海外投資家は日本株をグローバル資産の一部として評価します。主な視点は次のとおり。
- 為替(円安メリット)
輸出企業の利益押し上げ効果を重視。円安局面では日本株に資金流入しやすい。 - 企業統治・資本効率
ROE(自己資本利益率)、株主還元策、ガバナンス改革をチェック。
東証のPBR改善要請も海外投資家の注目点。 - マクロ経済・政策安定
政治の安定や経済成長シナリオが重要。逆にリスクが高まると資金が一気に流出する。
3. 日本株市場に起こる長期的変化
3-1. ガバナンス改革の加速
海外投資家が比重を高めれば、企業に対する株主還元要求や経営効率化の圧力が一段と強まる。配当や自社株買いの拡充が続く可能性大。
3-2. ボラティリティの増加
海外勢の資金は流入・流出が早いため、相場は振れ幅が大きくなりやすい。国内投資家や年金基金が安定化役を担えるかが課題。
3-3. 国際比較の中の日本株
グローバル投資家にとって日本株は「アジアの一角」。米国株や新興国株と比較され、相対的な魅力で投資判断される。
4. 個人投資家はどう向き合うべきか
4-1. 海外マネーの“短期筋”に振り回されない
ヘッジファンドの短期取引で株価は乱高下しやすい。個人投資家は長期・分散のスタンスを崩さないことが肝心。
4-2. 為替リスクを理解する
海外投資家の動きは円相場と連動しやすい。円安局面では株価が押し上げられる一方、円高に振れると逆風になる。外貨建資産とのバランス調整も意識。
4-3. ガバナンス改善を投資判断に組み込む
ROE改善や株主還元強化を進める企業は、海外投資家に支持されやすい。個人投資家にとっても「持ち続けやすい銘柄」となりやすい。
5. 日本株市場の未来図
ETF・REIT売却という出口戦略は、日本株を「政策で支えられた市場」から「グローバル資本と向き合う市場」へ移行させます。
その過程で起きること:
- 株価は海外投資家の資金フローに左右されやすくなる
- 企業はガバナンス強化を迫られる
- 個人投資家はグローバルな視点で投資判断を行う必要性が高まる
まとめ
日銀のETF売却後、日本株市場の主役は海外投資家へと移ります。
短期的にはボラティリティが増しますが、長期的には企業統治の改善や資本効率向上を促し、市場の健全性が高まる可能性があります。
私たち個人投資家にとって大事なのは、
- 海外投資家の資金動向に「振り回されない」
- 長期・分散・規律を軸に投資姿勢を保つ
- グローバル基準で評価される企業に注目する
出口戦略は、日本株市場を「外の資本と本格的に向き合う時代」へと導く転機なのです。
👉 本記事は 2025年9月19〜20日付 日本経済新聞 各面の報道を参考に構成しました。
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
