近年、海外投資家による日本不動産の取得が再び注目を集めています。
円安やインバウンド需要といった表面的な要因だけでなく、企業行動や市場構造の変化が、日本不動産を「投資対象」として見直す動きを後押ししています。
本稿では、日本経済新聞の記事を参考に、海外勢が日本不動産に魅力を感じている理由と、2026年以降に有望とされる分野について整理します。
日本不動産市場が再評価される理由
海外投資家の視点で見た日本不動産市場の強みは、大きく三つあります。
第一に、市場の規模と流動性です。
日本は収益性不動産市場において世界有数の規模を持ち、取引が成立しやすい環境が整っています。売りたいときに売れ、買いたいときに買えるという流動性は、長期資金を運用する海外投資家にとって重要な条件です。
第二に、制度面の安定性と透明性です。
法制度や契約慣行が整備され、社会的ルールも明確な日本は、不動産取引の透明性が高い市場と評価されています。これは、政治・制度リスクを嫌う海外マネーにとって大きな安心材料となります。
第三に、企業行動の変化です。
これまで日本企業は、不動産を長期保有する傾向が強く、外部投資家が取得できる物件は限られていました。しかし、近年のコーポレートガバナンス改革を背景に、遊休不動産や非中核資産の売却が進み、投資機会が広がっています。
デフレからインフレへの転換と賃料上昇
もう一つ重要なのが、経済環境の変化です。
日本は長らくデフレ経済が続いてきましたが、近年は物価上昇とともに賃料も上昇局面に入りつつあります。
賃料が上がる局面では、不動産の収益性が高まり、インフレ耐性のある資産としての魅力が増します。特に、賃料改定のサイクルが比較的短い不動産は、物価変動を収益に反映しやすく、投資対象として評価されやすくなります。
有望視される「ホテル」と「賃貸住宅」
2026年以降の日本市場で、特に有望とされているのがホテルと賃貸住宅です。
ホテルは、インバウンド需要の回復と拡大が追い風となっています。宿泊料金は比較的短期間で見直すことができ、需要増加を価格に反映しやすい点が評価されています。
賃貸住宅も同様に、更新時に賃料改定が可能であり、安定的な需要が見込める分野です。人口減少が進む中でも、都市部を中心に賃貸需要は底堅く、海外投資家から見ても分かりやすいアセットといえます。
オフィス市場は「選別の時代」へ
一方、オフィスについては慎重な見方が示されています。
空室率の低下や賃料上昇の兆しはあるものの、すべての物件で同じように収益が伸びるわけではありません。
立地や建物のグレード、設備の更新状況によって、賃料を引き上げられる物件とそうでない物件の差が広がっています。また、オフィスは管理・運営コストが高く、条件次第では収益確保が難しいケースもあります。
今後のオフィス投資は、「どこでも良い」ではなく、厳選が求められる局面に入っているといえます。
海外市場との対比から見える日本の位置づけ
米国では利上げによる価格調整が一巡し、投資環境が正常化しつつありますが、建設コストの上昇などから供給は抑制されています。欧州では、家計の節約志向を背景にアウトレットなど特定分野が注目されています。
こうした中で、日本は「安定性」「透明性」「適度な利回り」を兼ね備えた市場として、国際分散投資の受け皿になりやすい立場にあります。
結論
海外投資家による日本不動産取得の動きは、一過性のブームではなく、市場構造の変化を反映したものといえます。
企業の資産売却、賃料上昇局面への転換、制度面の安定性といった要素が重なり、日本不動産は改めて投資対象として評価されています。
特にホテルや賃貸住宅は、今後も注目される分野となるでしょう。一方で、オフィスを含めた不動産全体では、選別の目が一段と厳しくなる時代に入っています。
海外勢の動きは、日本の不動産市場の現在地と将来像を映す鏡でもあります。その視点を通じて、市場の変化を読み解くことが重要になりそうです。
参考
・日本経済新聞「海外勢の日本不動産取得 企業の売却で投資機会」
・日本経済新聞(2026年1月30日朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
