株価5万円時代を読む④政策と市場 ― 財政・金利・為替が交錯する2026年の展望

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2025年秋、日本経済は歴史的転換点にあります。
日経平均は5万円台、AI・防衛・金融が市場を牽引。
一方で、財政出動・金利正常化・円安圧力という3つの波が同時に押し寄せています。

2026年に向けて問われるのは、

「政府・日銀・市場が同じ方向を見られるか」
という一点です。

ここからは、三要素の相互作用を整理しながら、
家計・企業・投資家が取るべき姿勢を考えていきましょう。


💴 1.財政出動 ― 「責任ある積極財政」の本格化

高市政権の経済戦略は、“積極財政の再定義”にあります。
単なる景気刺激ではなく、

  • AI・半導体・防衛産業
  • 地方経済・再エネ・子育て支援
    といった成長と分配の一体化が柱です。

▶ 2026年度予算(試算ベース)

分野前年度比主な施策
科学技術・AI関連+20%国産生成AI開発、中小企業AI導入補助金
防衛・安全保障+15%装備品国産化、造船支援
子育て・医療+10%所得連動給付・医療DX
地方創生・インフラ+8%港湾・エネルギー網の再整備

国債増発を伴う財政拡張は避けられませんが、
その資金が将来の成長投資に回るかが最大の焦点。
「使う財政」から「育てる財政」への転換が問われます。


💹 2.金利 ― 日銀の“静かな正常化”

日本銀行は2025年後半から、
マイナス金利解除→長期金利上昇の容認へと舵を切りました。

背景にあるのは、

  • インフレ率2%台の定着
  • 賃上げと物価上昇の好循環
  • 財政拡張による需要刺激

これにより10年国債利回りは1.2%台へ上昇。
銀行・保険株には追い風ですが、
住宅ローン・企業借入コストはじわりと上がります。

🧮 家計視点のポイント

  • 住宅ローンは「固定金利」への切り替えを検討
  • 教育資金・老後資金の運用は「インフレ連動型商品」へ分散
  • 預貯金は実質金利マイナスに注意

💱 3.為替 ― 円安の「構造変化」

為替相場は1ドル=158円台を中心に推移。
円安の要因は単なる金利差ではなく、
構造的な資金フロー変化にあります。

要因内容
投資資金の逆流日本企業の海外子会社利益が国内に還流し始めた
AI投資ブーム外国人投資家の円売り・日本株買いの同時発生
貿易構造の転換エネルギー・食料輸入コスト高が定常化

円安は輸出企業の利益を押し上げる一方、
輸入物価の上昇=生活コスト増を通じて家計を直撃します。

💬 経済の二面性

  • 株価は上がる
  • 生活はやや苦しくなる

この「資産リッチ・家計タイト」構造こそ、2026年の最大の特徴です。


🌏 4.政策と市場の“力学バランス”

2026年にかけての主な経済シナリオは以下の通りです。

シナリオ政策動向市場への影響投資家・家計への示唆
🟢 成長安定型財政出動+緩やかな金利上昇株価堅調、円安持続NISA積立継続・AI銘柄分散
🟡 過熱型金利上昇が急加速株価調整、債券安キャッシュポジションを厚めに
🔴 不安定型政治不透明・財政懸念台頭円高リスク・株価乱高下為替ヘッジ型資産を検討

市場の方向性を決めるのは、「成長期待と金利負担のせめぎ合い」。
財政が景気を押し上げるほど、金利もそれに反応する。
この微妙なバランスを、2026年の日本は試されることになります。


🧭 家計と投資家が今からできる備え

✅ 家計部門

  • 生活防衛費3~6カ月分を確保
  • インフレ対応の「実物資産」や外貨を一部組み込み
  • 教育・住宅・老後を分散的に管理する“家計版ポートフォリオ”

✅ 投資家部門

  • AI・防衛テーマを「長期軸」で保有
  • 金利上昇を見越して金融・エネルギー株を組み入れ
  • 外貨ETFや世界株分散で為替変動リスクを軽減

🔮 結論:三つの波を“読む力”が問われる

2026年の日本は、

  • 財政:使う勇気と絞る知恵
  • 金利:緩やかな上昇を許容する市場心理
  • 為替:円安と物価を両立させる構造改革

この3つがどう噛み合うかで未来が決まります。

「政策と市場が協調できる国」は、投資家と国民双方に利益をもたらします。
逆に、バランスを失えば資産価格も生活も不安定化する。
――だからこそ今、数字の裏の“構造”を読む力が必要なのです。


📘 次回予告

シリーズ第5回は、
「5万円のその先へ ― 家計・投資・税制から見る“成熟と変革”の日本」
として、NISA・税制改正・年金制度といった“生活直結テーマ”に踏み込み、
「5万円時代の家計戦略マップ」を提示します。


出典・参考:

  • 日本経済新聞(2025年10月27日)
  • 財務省「令和7年度予算編成方針」
  • 日本銀行・長期金利動向資料(2025年10月)
  • QUICK、野村アセットマネジメント、ニッセイ基礎研究所 各種リポート

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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