株価5万円時代を読む②AIと財政が動かす日本 ― 高市政権“経済安全保障モデル”の行方

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

2025年10月、高市早苗首相が誕生してから1カ月あまり。
発足直後の内閣支持率は74%と、2002年以降で2番目の高水準を記録しました。
この政治的安定感が、日経平均株価5万円突破の背景にあると指摘されています。

高市政権が打ち出すのは、「責任ある積極財政」。
単なるバラマキではなく、AI・防衛・再エネ・地方経済の強靭化を一体で進める“経済安全保障モデル”です。

その特徴は次の3点です。

  1. AI投資を軸とする産業再編
    • 国家レベルで生成AI・半導体分野を支援
    • 国内クラウド・国産AI基盤の構築を推進
    • 中堅・中小企業へのAI導入補助金を強化
  2. 防衛・造船・インフラ分野の復権
    • サプライチェーン強化に伴う重工業の再注目
    • 川崎重工などが36年ぶり高値を更新
  3. 地方発の成長エンジンづくり
    • 地方大学×AI企業連携、地方港湾の国際化
    • 政策金融・政府系ファンドの資金シフト

🤖 「AI×財政出動」という新しい景気循環

従来の日本経済では、公共事業や金利政策が景気調整の主軸でした。
しかし今は、AI技術投資が財政出動の中核を占めるようになっています。

たとえば:

  • 生成AIによる行政効率化(税務・医療・防災)
  • 企業のAI導入補助金による中小企業DX
  • 国防技術におけるAI活用(画像認識・通信暗号化)

これらは単なるテクノロジー支援ではなく、「国家戦略」としてのAI投資。
政府支出が直接的に企業利益を押し上げ、市場全体を底上げする構図です。


🌏 グローバルマネーの動き ― 「AI日本」への再注目

米中貿易協議の緊張緩和により、
25年の株式市場を覆っていた“米関税懸念”が後退しました。
世界的な機関投資家が「政治安定+技術成長=日本回帰」の流れを強めています。

実際、日経平均を押し上げた主力銘柄は:

  • ソフトバンクグループ(AIプラットフォーム投資)
  • アドバンテスト(半導体検査装置)
  • 川崎重工(防衛・造船)
  • 東京エレクトロン(次世代半導体)

かつての“デフレ日本”から、“AI成長日本”へのパラダイムシフトが起こりつつあります。


💰 財政と市場の「新しい相互依存」

高市政権の積極財政は、単なる支出拡大ではなく「市場との連動型」です。

政策テーマ財政支出市場反応
生成AI・半導体産業投資・減税株価上昇・企業利益押上げ
防衛産業予算倍増川崎重工・IHIなど急騰
地方再生インフラ基金地方銀行株・建設株上昇

AI・防衛・地方の3分野を財政と資本市場が連動して動かす――
まさに「財政と市場の新しい循環モデル」です。


🧩 課題:財政規律と金利の綱引き

もちろん、課題もあります。
財政出動が続けば国債発行が増え、長期金利上昇圧力が強まります。
一方で、FRBが利下げに転じる中、日本銀行は金融政策の正常化を慎重に進める構え。

もし円安が続けば、海外資金流入による株高と物価上昇の同時進行という“複雑な景気局面”も想定されます。

「財政と市場の距離」が近づくほど、バランス運営の難易度は上がる――。
この点は経済安全保障のもう一つの課題といえるでしょう。


🏠 家計と投資家が備えるべき3つの視点

  1. AIテーマを追いすぎない冷静さ
    • 成長株だけでなく、安定配当株・ETFでバランスを取る。
    • 「AI×社会インフラ」など長期的テーマを選ぶ。
  2. インフレ時代の現金価値減少に備える
    • 現預金の過多を避け、分散投資・外貨資産・金などを組み入れる。
    • 実質金利の動きを常に意識する。
  3. 政治と経済の“連動リスク”をモニタリング
    • 支持率・政策転換・財政審議をウォッチする。
    • 税制改正や給付付き税額控除の導入は家計にも直接影響。

🔮 結論:「AI×積極財政」時代をどう生きるか

日経平均5万円という数字は、単なる記録更新ではありません。
それは「AI・財政・防衛・市場が連動する新時代」の幕開けを示しています。

政治の安定と技術の進化が、投資・雇用・税収を循環させる構造――
この流れをいかに生活・投資・仕事に結びつけるかが、
家計にも経営者にも問われています。


🗓 次回予告

シリーズ第3回は、
「株価5万円の内訳を読む ― AI・防衛・金融セクターの実力分析」
として、業種別の寄与度やPER分析を行います。
AIテーマがどこまで実体経済を動かしているのか、数字で検証します。


出典・参考:

  • 日本経済新聞(2025年10月27日)「日経平均、初の5万円 米中対立の緩和期待」
  • 各社ストラテジストコメント(野村アセットマネジメント、ニッセイ基礎研究所 ほか)
  • 内閣府・財務省資料「積極財政とAI投資に関する概況(2025年版)」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました