「株価5万円」は通過点。NISAの真価はこれから
日経平均が5万円台目前に迫り、投資ブームが再び熱を帯びています。
2024年から始まった「新NISA」制度では、個人の投資環境が大きく変わりました。
でも、ここで忘れてはいけないのは――
“上がっているときほど冷静に、長期で構える”という姿勢です。
株価5万円時代のキーワードは、
「焦らず・長く・分けて持つ」。
その軸となるのが、NISAを活用した「積立・成長・安定」の3本柱戦略です。
1. 積立の柱 ― “時間分散”で波を味方に
まずは王道の「積立投資」。
株価が高値圏にあるときほど、時間を味方につける戦略が力を発揮します。
● ドル・コスト平均法で“平準化”
毎月一定額を投資することで、
高いときは少なく、安いときは多く買う――。
結果として平均購入単価を下げる効果があります。
● 新NISAの「つみたて投資枠」は無期限・非課税
旧NISAでは非課税期間が20年など制限がありましたが、
新NISAでは非課税期間は無期限になりました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間投資上限 | 120万円(つみたて投資枠) |
| 非課税期間 | 無期限 |
| 対象商品 | 長期積立に適した投資信託など |
つまり、一度買った投資信託は、売らない限りずっと非課税。
時間をかけてゆっくり積み上げるには理想的な制度です。
2. 成長の柱 ― “攻め”の枠を活かす
次に、より自由度の高い「成長投資枠」。
年間240万円まで投資でき、こちらも非課税期間は無期限です。
● 政策テーマと成長分野に注目
高市政権が掲げる成長戦略――AI、防衛、エネルギー、半導体など。
こうした分野は国内外から資金が集まりやすく、
中長期のテーマ投資として有望です。
● 成長枠ではETF・個別株・海外株も選択肢に
- 日本株:コーポレートガバナンス改革が進む内需・製造業
- 海外株:AI・医療・クリーンエネルギー分野など
- ETF:S&P500や全世界株インデックスで広く分散
一括で買うのではなく、複数回に分けて投資するのがポイントです。
3. 安定の柱 ― “守り”の資産を組み合わせる
株式市場が好調なときほど、
家計を守る「安定の柱」を忘れてはいけません。
● 債券・金・外貨をポートフォリオに
- 債券ETF・バランス型ファンド:株価下落時のクッション
- 金(ゴールド):インフレ・円安時代の防衛資産
- 外貨建て資産:円安局面での価値維持
投資全体の10〜30%程度をこうした資産に振り向けると、
“攻め”と“守り”のバランスが取れます。
4. 「3本柱」を支える実践バランス
| 柱 | 投資対象 | 目的 | 比率の目安 |
|---|---|---|---|
| 積立 | 全世界株・S&P500・日本株インデックス | 長期の安定成長 | 40〜50% |
| 成長 | 国内テーマ株・海外グロースETF | 値上がり益の追求 | 30〜40% |
| 安定 | 債券・金・外貨 | リスク分散・家計の安定 | 10〜30% |
市場が上がっても下がっても、
このように“攻守バランス”を整えておけば、
ブレない資産形成が可能になります。
5. まとめ ― 「熱狂」ではなく「習慣」
株価5万円は、ゴールではなく新しいスタートラインです。
市場の熱狂に流されず、
「積立・成長・安定」の3本柱で自分のペースを守ること。
- 積立で時間を味方に
- 成長で未来を取りにいく
- 安定で家計を守る
このバランスを保ち続けることこそ、
インフレ・円安・変動相場の時代を生き抜く最強のNISA戦略です。
出典:2025年10月22日 日本経済新聞朝刊
「新政権発足、市場の見方 経済政策実現で株価に上値余地」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
