2025年10月27日、日経平均株価はついに5万円の大台を突破しました。
取引時間中として史上初の快挙です。前週末比で1,100円超の上昇、一時は5万400円台に達し、東証プライム上場企業の約9割が上昇するという「全面高」となりました。
背景には、米中貿易協議の対立緩和期待と、高市早苗内閣への高支持率(74%)による政治的安定感があります。
加えて、AI・半導体関連株の急伸が市場全体を押し上げ、36年ぶりに上場来高値を更新した川崎重工業など、防衛・造船分野にも買いが集中しました。
💡 AI相場と「新成長期待」
5万円台を押し上げた主役は、やはり生成AI関連銘柄。
ソフトバンクグループ(SBG)やアドバンテストなど、AIサプライチェーンに関わる企業が日経平均を大きく牽引しました。
米国ではFRBの利下げ観測が高まり、世界的な「マネーの行き場」として日本株が選ばれる構図です。
低金利・円安・AI・防衛・再エネという複数テーマが重なり、海外投資家の資金が再び日本市場に流れ込み始めています。
🏛 政治の安定がもたらす「政策期待」
政治面では、21日に発足した高市政権への支持率が74%と高水準。
与党単独過半数を持たない中でも「国民の高い支持を背景に政策実行力が増す」との見方が広がっています。
たとえば:
- 防衛産業強化・国内製造支援
- 生成AI・半導体産業への国家投資
- 税と社会保障の一体改革(給付付き税額控除など)
これらの政策テーマが「日本経済再起動」への期待を生み、株式市場のセンチメントを押し上げています。
📈 歴史を振り返ると…
日経平均が4万円台に到達したのは2024年3月。
その後、8月と2025年4月には急落し3万1,000円台まで下落しましたが、
「AIバブル」とも呼ばれるグローバル資金流入が再び相場を押し上げました。
10月の月間上昇率は10%超と、コロナ禍後の2020年11月(15%)以来の急騰ペース。
世界の投資マネーが日本に再注目していることを象徴しています。
⚠️ それでも「過熱リスク」も忘れずに
市場には冷静な声もあります。
「来期業績の大幅な伸びを織り込んだ株価水準。期待が後退すれば調整リスクもある」との指摘(ニッセイ基礎研究所・井出真吾氏)もあります。
AI関連株の高騰は確かに強烈ですが、企業の利益成長がそれに追いつかなければ「期待の先走り」となる可能性も。
投資家としては、成長テーマと実際の業績を見極める力が問われる局面です。
💴 家計にとっての「5万円時代」戦略
株価5万円時代の到来は、家計にも影響します。
- NISAの長期運用戦略を見直す時期
→ 高値圏では「積立の継続」「分散投資の維持」が基本。
→ 焦って売るよりも、次の成長テーマ(生成AI、グリーン水素、医療DXなど)を探す視点が重要。 - 円安下のインフレ資産戦略
→ 外貨・金・海外ETFなど「通貨分散」を意識。
→ 日本株の高騰で相対的に出遅れている資産に目を向ける。 - 政治と市場の連動リスクを意識
→ 支持率や政権基盤の変化がマーケットに直結する時代。
→ 「政策×マネー」の動きを理解することが生活防衛にも直結。
🧭 まとめ:5万円の先にある問い
日経平均が5万円を超えたことは、日本経済の“到達点”ではなく“通過点”です。
AI・防衛・再エネ・税制改革などの「新しい構造変化」が重なり合い、
今後の景気・雇用・税制・家計にまで影響していく可能性があります。
高市政権が描く「責任ある積極財政」と民間主導のAI投資がどこまで実を結ぶか――
それが次の5年を決める鍵となるでしょう。
📘次回予告
シリーズ「株価5万円時代を読む」第2回は、
「AIと財政が動かす日本 ― 高市政権“経済安全保障モデル”の行方」
をお届けします。
出典・参考:
- 日本経済新聞(2025年10月27日)「日経平均、初の5万円 米中対立の緩和期待」
- 各社ストラテジストコメント(野村アセットマネジメント、ニッセイ基礎研究所 ほか)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

