株は笑顔、ドルは曇り顔 ― 「ドル安時代」に備える新NISA戦略

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

米国株は絶好調。
でも、ドルは元気がない――。

そんな「ちぐはぐな笑顔」が、いまの金融市場を象徴しています。
家計にとっては、為替の波をどう乗りこなすかが重要なテーマになっています。


📉 ドル安の理由を3分で整理

2025年10月、ダウ平均株価は4万6,000ドル台と過去最高圏。
一方で、ドルの強さを示す「ドルインデックス」は1月の110台から98台へ下落し、
半年で約11%安――約50年ぶりの下げ幅です。

なぜドルが売られているのか?

  • FRB(米連邦準備理事会)の追加利下げ観測
  • 減税と歳出拡大による財政赤字の増加
  • FRBへの政治的圧力や介入懸念

つまり、「ドルの価値が薄まる(ディベースメント)」という見方が広がっています。
投資マネーは、安全資産の金(ゴールド)へも動いています。


😏 「ドルスマイル理論」が描けない今

為替の世界では、ドル相場の動きを「ドルスマイル理論」で説明します。

経済の状態為替の動き理由
米経済が強いドル高投資マネーが米国へ
世界が不安ドル高安全資産として買われる
世界が安定ドル安投資マネーが米国外へ

今はまさに「真ん中」――米経済は強いが、世界全体に資金が分散する局面。
つまり、ドルスマイルの“口角”が下がり始めているのです。


🏦 家計が注意すべき3つのポイント

1️⃣ 為替変動が家計に影響する
ドル安=円高傾向になると、
円換算の米国株・外貨資産の評価額は下がる可能性があります。
→ NISA口座でS&P500などを積み立てている人は要注意です。

2️⃣ 為替ヘッジ付き商品も検討する
「S&P500(為替ヘッジあり)」などを使えば、
為替リスクを抑えて米国株の値動きだけを取り込めます。

3️⃣ 外貨預金よりも“通貨分散”を意識する
ドル預金で金利を狙うより、
NISAを活用して株・金・円資産をバランスよく組む方がリスクを分散できます。


💡 新NISAで実践! ドル安時代の分散ポートフォリオ

では、実際に毎月10万円積立をする場合のモデル例を見てみましょう。


🧮 ケース:30代〜50代の長期投資家

目的:老後資産形成・通貨分散
前提:ドル安リスクに備えつつ、成長も狙う

投資先商品例(NISA対応)割合月額(目安)ねらい
米国株eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)40%4万円成長力の中核。為替リスクを承知で保有
為替ヘッジ米国株野村インデックスF・米国株式(ヘッジあり)15%1.5万円為替変動を抑えた米国株投資
全世界株eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)20%2万円地域分散(ドル偏重の緩和)
金(ゴールド)iシェアーズ・ゴールドETF(国内上場)10%1万円通貨下落ヘッジ(非ドル資産)
日本株ひふみプラス or TOPIX連動型10%1万円円建てリスク分散+国内株価恩恵
現金・定期預金5%0.5万円緊急資金・買い増し余力

📊 通貨バランス:ドル55%/円35%/その他10%
→ 為替が円高方向に動いても、円建て・金資産で緩衝されます。


🪙 ゴールドの扱い方 ―「通貨を持たない通貨」

金(ゴールド)は「通貨を持たない通貨」と呼ばれます。
利息はつかないものの、インフレや通貨下落時の防波堤として機能します。

NISAでも、

  • 【ETF】iシェアーズ ゴールドETF(1540)
  • 【投信】三菱UFJ純金ファンド(年1回決算型)

などが利用可能です。
少額でも「ポートフォリオの5〜10%」程度を金に充てることで、
ドル・円の両方が弱くなったときの守りになります。


💬 為替の波を味方にする考え方

為替は、読めない。
だからこそ、予測よりも設計が大事です。

  • ドル高なら円換算で利益が出る
  • ドル安なら円で買いやすくなる

どちらに転んでもプラスに働くように、
「積立×分散」で時間を味方にしましょう。


🧭 まとめ ― ドルが笑えない時こそ、家計は笑顔で

ドルの信頼が揺らぐときは、通貨の価値を見直すチャンスです。
「ドルスマイル」が曇っても、
あなたの資産形成は“笑顔のカーブ”を描けるように。

📘 出典:2025年10月23日 日本経済新聞朝刊「株最高値圏でも『笑えぬドル』」
💬 参考:米バンク・オブ・アメリカ ファンドマネジャー調査(2025年9月)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました