2026年度の税制改正で「未成年NISA」が解禁される可能性があります。制度そのものの非課税メリットだけでなく、家庭での活用次第では「金融教育の道具」としても大きな意味を持つでしょう。今回は教育的な効果に注目します。
投資を「当たり前」にする体験
従来、子どもがお金に触れる場面といえば、お小遣いやお年玉を「使う」経験が中心でした。しかし未成年NISAを通じて投資を始めれば、次のような体験が可能になります。
- 「使う」だけでなく「増やす」経験
毎月の積立が時間とともにどう増えるかを実感できる。 - お金と時間の関係を学ぶ
短期では成果が見えにくいが、長期で積み重ねれば成果が出ることを体感。 - 投資信託=社会とのつながり
投資先の企業がどんな活動をしているかを学ぶことで、経済や社会に関心が広がる。
これらは、学校教育だけでは得られにくい実践的な学びです。
家族での「お金の会話」が増える
未成年NISAを使うには、親が資金を拠出するケースが多くなるでしょう。その過程で次のような「家族内対話」が生まれます。
- 「今年は何に投資するの?」
- 「どうして長期で持つと増えるの?」
- 「株価が下がったときはどうする?」
こうした会話を通じて、子どもは自然にお金に向き合う姿勢を学びます。
お小遣い帳をつけることが「消費の管理」なら、NISA口座は「資産の管理」。両輪でお金を理解する家庭教育になります。
習慣づけの力
NISAは「少額でも毎月積立」を前提とした制度です。これは子どもにとって次のような習慣形成につながります。
- 定期的に貯める(積立習慣)
- 使わずに置いておく(我慢の習慣)
- 時間を味方につける(長期視点)
これらは将来の家計管理の基礎となり、大人になってからの投資行動にも影響を与えます。
実際の活用シナリオ
では、家庭でどのように活かせるのでしょうか?
いくつかシナリオを挙げます。
- お年玉の一部をNISAに積立
全部を消費せず、一部を投資に回す習慣づけ。 - お小遣い+親からの追加資金で積立
「自分のお金」と「親からの贈与」を組み合わせて運用。 - 高校生・大学生のアルバイト収入を積立
自分で稼いだお金を投資することで「働く・稼ぐ・増やす」の流れを実感。
こうした使い方をすれば、未成年NISAは単なる制度を超え、「お金の教育キット」として機能します。
注意点
もちろん注意も必要です。
- 投資リスクを理解する教育が前提:「必ず増える」ではなく「増える可能性がある」と説明する。
- 短期での成果を求めない:「すぐに結果が出ないこと」を体感するのも教育。
- 子どもの意思を尊重:親主導だけでなく、子ども自身が「やってみたい」と感じることが大切。
まとめ──制度を「教育のチャンス」に変える
未成年NISAが始まれば、
- 家族でお金について話すきっかけが増え、
- 子どもが「投資=身近なもの」と感じられる。
これは将来の日本の金融リテラシーを底上げする大きなきっかけになるはずです。
単なる制度改正ではなく、「お金の教育」を家庭に取り戻すチャンスと捉えたいところです。
👉参考:2025年9月18日付 日本経済新聞「つみたてNISA『未成年に対象拡大を』日証協会長が要望」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
