世界でも最長クラスの平均寿命を誇る日本。
一見すると日本は「長寿の成功国」のはずですが、実際は多くの人が老後に強い不安を抱えています。
背景には、
- 賃金の伸び悩み
- 物価の上昇
- 退職後の生活費増大
- 公的年金への依存度の高さ
といった構造的要因があります。
長生きできることは本来喜ばしいはずなのに、将来の生活資金を考えると不安が先に立ってしまう――。
これこそが、いまの日本で深刻化している「長寿のジレンマ」です。
本稿では、老後を安心して迎えるために、なぜ“預金だけ”では不十分なのか、どのように資産形成を考えるべきなのかを整理します。
1 長寿化が“経済的不安”につながる日本の現実
日本は世界でも有数の長寿国ですが、経済的な理由により「長生きしたくない」と感じてしまう人も少なくありません。
賃金は伸び悩み、インフレは加速し、生活費は増えていきます。
特に問題なのが、
「公的年金と企業年金だけでは、老後資金として十分とは言えない」
という現実です。
寿命が延びるほど、
- 医療・介護費用
- 生活費
- 住まいの維持費
などの支出も伸びていきます。この差を埋めるために、資産形成の重要性が飛躍的に高まっています。
2 預金中心の資産形成はインフレ時代に不利になる
日本では“お金は預金に置くもの”という価値観が長く続いてきました。
しかしインフレ下では、現金の価値は年々目減りします。
例えば、物価が年2%上昇する環境では、
10年でお金の価値は約82%、20年では約67%に減る
ことになります。
つまり、「預金=安全」という考え方はインフレ時代では成り立たなくなってきています。
こうした背景から、
- 投資信託
- ユニットリンク型保険(変額保険)
- 一時払い終身保険
など、預金以外の選択肢を取り入れることが重要になります。
3 投資と保険の“組み合わせ”が老後資産を安定させる
老後資産形成を考える際は、単純な「増やす」だけではなく、
必要なときに資金が尽きない、家族を守れる、長生きリスクに対応できる
という“複合的な視点”が欠かせません。
その点で、保険会社が提供する商品には次のような特徴があります。
- 死亡保障がある(投信にはない)
- 元本確保型の商品がある
- 市場の上下によるリスク調整機能がある
- 保険と投資を組み合わせた商品が選べる
特に若い世代に対しては、
長期間の投資×死亡保障のハイブリッド型商品
のニーズが高まっています。
長寿化で老後期間が伸びるほど、「増やす・守る・備える」を同時に実現する商品は有効な選択肢になります。
4 “人に相談しない日本人”という大きなハードル
日本では「お金の話はタブー」という文化が根強く残っています。
金融庁や日銀の調査でも、
ファイナンシャルアドバイザーに相談した経験がある人は約2割程度
にとどまっています。
しかし、資産形成の不安が解消されない最大の理由はまさにここにあります。
- 何から始めればいいかわからない
- 老後資金はいくら必要か判断できない
- どの金融商品が適しているかわからない
こうした悩みは、ネットの情報もAIもすべて補完できますが、
最後の意思決定は「対話」から生まれる
という点が重要です。
人生のステージ、家族構成、収入、医療・介護への備え……。
一人ひとりの状況が異なるからこそ、プロと話しながら設計する必要があります。
5 “年代別”ではなく、“個別事情”で資産形成を考える
資産形成は「若い世代の方がリスクを取れる」「シニアは守りが重要」と言われがちですが、本質はそこではありません。
大切なのは、
- 今どんな生活ステージにあるか
- 貯蓄から投資に回せる金額はいくらか
- 家族にどの程度の保障が必要か
- どのくらいリスクを許容できるか
といった個別事情です。
たとえば、
若い世代であっても、保障を重視する人もいる
一方で、
50代でも積極的に運用したい人もいる
のが現実です。
保険・投資・年金制度を組み合わせながら、その人に最適な“老後マネープラン”を設計することが極めて重要になります。
結論
日本は世界でもまれに見る長寿社会に突入しましたが、その一方で老後の不安は確実に増えています。
- インフレ
- 公的年金の限界
- 医療・介護負担の増加
- 長生きリスク
これらは個人の努力では解決できません。
しかし、
預金だけではなく、投資・保険・年金をバランス良く組み合わせることで、老後資産の安定性は大きく高まります。
そして何より重要なのは、
「プロに相談する」という行動をためらわないこと。
資産形成は、一人で悩むほど難しくなり、対話するほど明確になります。
長寿化を悲観ではなく、「人生の選択肢が増えるチャンス」と捉えられる社会に向けて、個人が正しい知識と適切なサポートを得ながら、自分らしい老後を設計していくことが大切だと考えています。
参考
・日本経済新聞「老後の資産形成 課題」(2025年12月3日 朝刊)
※内容を参考にしつつ、文章は独自に再構成しています。
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

