日本の免税制度ってどうなるの? ― 転売と廃止論のニュースをやさしく解説

政策
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銀座のデパートや空港で「免税カウンター」に外国人観光客が並んでいる光景、見たことがある方も多いと思います。
免税とは、海外から来た旅行者が買い物をしたときに「消費税を払わなくていい仕組み」のことです。パスポートを見せれば、その場で税金分が安くなったり、現金で返ってきたりします。

観光庁によると、2024年には外国人旅行者の日本での消費が8兆円を超えました。この10年で約4倍に増えています。その大きな理由のひとつが「免税制度」でした。

ところが今、この免税制度をめぐって「廃止した方がいいのでは」という議論が出ているのです。


どんな問題があるの?

本来、免税制度は「日本で買った商品を自分の国に持ち帰る」ことが条件です。でも実際には、買った商品を日本国内で転売して利益を得るケースが少なくないそうです。

たとえば、免税で10万円の商品を買い、国内で税込み11万円で売れば、差額の1万円がまるまる儲かってしまいます。これを「サヤ抜き」と呼びます。

財務省によると、2021年から2年間で 1億円以上の免税品を購入した人が690人もいたとのこと。合計で2332億円分ですが、その多くが日本から持ち出されていなかったとみられます。


国の新しい対策「リファンド方式」

こうした不正を防ぐために、2026年11月からはルールが変わります。

これまで:

  • 店で消費税を引いた金額で買える

これから:

  1. 店では消費税込みの金額で買う
  2. 出国のときに「ちゃんと持っているか」を税関でチェック
  3. 確認できたら、消費税分を返してもらえる

これを「リファンド方式」といいます。こうすれば、転売して儲けることはできなくなります。


それでも「廃止すべき」という声

ただし、自民党や野党の一部からは「免税制度そのものをやめるべき」という意見も出ています。

  • 不正を完全に防ぐのは難しい
  • 免税によって毎年2000億円以上の税金が入ってこない
  • 外国人にとって日本の商品は十分安いので、免税がなくても買ってもらえる

こうした理由からです。


業界は「観光に大打撃」と反発

一方で、観光業界や百貨店などは「廃止されれば外国人観光客が減る」と強く反発しています。免税ショッピングは、日本に来る楽しみの大きな部分だからです。

もし免税がなくなれば、中国や韓国など競合する国に観光客が流れるのではないか、という心配もあります。そうなれば、消費税の税収は増えても、法人税や所得税など別の税収が減ってしまう可能性もあるのです。


まとめ ― 税収か観光か、国の選択は?

免税制度をどうするかは、単に「税金をとるか、とらないか」という問題ではありません。

  • 税金の不正を防ぎ、税収を増やすことを重視するのか
  • 観光立国として外国人旅行者を呼び込む魅力を維持するのか

どちらを優先するかという、大きな政策の選択です。

2026年から新しい方式が始まりますが、それで不正がどれだけ減るか。その結果を見ながら、免税制度の存続か廃止かが決まっていくことになりそうです。


👉 出典:日本経済新聞「消費税のリアル(中)免税品2000億円、転売疑い」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO91647140Q5A930C2EP0000/


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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