2024年から始まった「新NISA(少額投資非課税制度)」は、
株や投資信託だけでなく、金や銀などのETF(上場投資信託)にも投資できる制度です。
インフレや円安が続く中、「通貨の価値が下がるなら、現物資産を少し持っておきたい」と考える人が増えています。
この記事では、新NISAでの金・銀投資の基本と、初心者が気をつけるポイントを解説します。
🪙 1. 新NISAでも「金・銀ETF」は買える!
まず大前提として――
新NISAで金や銀に投資することは可能です。
ただし、NISAでは「国内の証券取引所に上場しているETF」だけが対象です。
そのため、海外市場(米国など)に上場しているETFは対象外になります。
💹 2. 新NISAの2つの投資枠をおさらい
| 投資枠 | 内容 | 金・銀ETFの対象? |
|---|---|---|
| つみたて投資枠 | 長期・積立専用の投資信託 | ❌ 対象外 |
| 成長投資枠 | ETFや個別株など自由に売買可 | ✅ 対象 |
つまり、金・銀ETFを買う場合は、「成長投資枠」を使います。
🏆 3. 新NISAで買える主な「金・銀ETF」
| 種類 | 銘柄名 | 銘柄コード | 内容 | 管理費用(信託報酬) |
|---|---|---|---|---|
| 🟡 金(ゴールド) | 純金上場信託(田中貴金属) | 1540 | 東京金価格に連動 | 年0.4%程度 |
| SPDRゴールド・シェア | 1326 | 世界最大級の金ETF(米ドル建て) | 年0.4%程度 | |
| ⚪️ 銀(シルバー) | WisdomTree 銀上場投信 | 1542 | ロンドン銀価格に連動 | 年0.49% |
| iシェアーズ・シルバーETC | 1673 | 国際銀価格に連動 | 年0.50% |
👉 いずれも 新NISAの「成長投資枠」で購入可能 です。
証券会社の検索欄に「1540」「1542」など銘柄コードを入れると簡単に見つかります。
💡 4. 金・銀ETFの特徴と違い
| 比較項目 | 金(ゴールド)ETF | 銀(シルバー)ETF |
|---|---|---|
| 主な性格 | 資産防衛・インフレヘッジ | 産業需要・値上がり期待 |
| 値動き | 安定的 | 変動が大きい(約2倍) |
| 為替影響 | あり(ドル建て) | あり(ドル建て) |
| 保有コスト | 年0.4〜0.5% | 年0.4〜0.5% |
| 向いている人 | 守り重視・長期保有型 | 値上がり狙い・積極型 |
初心者の方はまず金ETF(例:1540)から始め、
慣れてきたら銀ETFをポートフォリオの一部(2〜3割)に組み込むのがおすすめです。
🏦 5. 新NISAで買うときの手順(例:SBI証券・楽天証券)
1️⃣ 証券口座で「新NISA」を選択
2️⃣ 「成長投資枠」で取引を開始
3️⃣ 検索欄に「1540(金)」または「1542(銀)」を入力
4️⃣ 金額を指定して「買付」
→ 1万円など少額からOK
💬 ポイント:ETFは「株式と同じように1口単位」で売買できるので、金額を指定するだけでOKです。
成長投資枠は年間240万円まで非課税(売却益・配当含む)です。
⚠️ 6. 投資前に知っておくべき3つの注意点
① 為替リスクがある
ETFの価格は「ドル建ての貴金属価格×為替レート」で決まります。
→ 円高(1ドル=150円→130円)になると、日本円ベースでは評価額が下がります。
② 分配金はほぼなし
金や銀ETFは「保有=値上がり益を狙う」タイプ。
株式ETFのような分配金は基本的にありません。
③ リスク分散が大切
金・銀だけに偏らず、株や債券と組み合わせてポートフォリオ全体のバランスを取ることが重要です。
📈 7. 初心者向けのおすすめ組み合わせ
| 目的 | 金ETF | 銀ETF | 合計構成 |
|---|---|---|---|
| 安定志向 | 80% | 20% | 金メインで守り重視 |
| バランス志向 | 60% | 40% | 金と銀を半々に近く |
| 攻め志向 | 40% | 60% | 銀を多めに値上がり狙い |
長期では「金=守り」「銀=成長」と考え、
どちらも積立で平均購入価格をならすのがポイントです。
🌈 8. まとめ:「ETFで気軽に“実物資産”を持つ時代」
- ✅ 新NISAでも金・銀ETFは購入できる(成長投資枠)
- ✅ 為替や信託報酬に注意しつつ、少額から始められる
- ✅ ETFで慣れたら、次は「実物資産(地金・コイン)」も検討
金や銀は「通貨の信頼が揺らぐ時代の“静かな保険”」。
新NISAを活用すれば、手軽にその一部をあなたの資産ポートフォリオに組み込むことができます。
🪙 参考資料:
出典:金融庁「新しいNISAの概要」/東京証券取引所「ETF一覧」
田中貴金属工業・WisdomTree・ブラックロック商品資料
2025年10月17日 日本経済新聞朝刊「銀最高値、群がる投機資金」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
