新築マンションでも固定資産税が軽減される時代へ――修繕積立金と「管理の質」が問われる分譲マンション

FP
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分譲マンションの購入を検討する際、多くの人が重視するのは価格や立地、間取りです。一方で、将来にわたる維持管理や税負担まで含めて判断している人は、決して多くありません。
しかし今後は、マンションの「管理の質」が税負担に直結する時代に入ろうとしています。

国土交通省は、これまで既存マンションのみを対象としていた管理計画認定制度を、新築分譲マンションにも拡大する方針を示しました。認定を受けたマンションは、一定の条件のもとで固定資産税の軽減などの優遇措置を受けられます。
注目すべき点は、その判断基準として「修繕積立金の水準」が明確に位置づけられたことです。

管理計画認定制度とは何か

管理計画認定制度は、マンションが長期的に適切な維持管理を行える体制にあるかどうかを自治体が認定する制度です。
認定の対象となるのは、管理組合の運営状況、会計処理の透明性、長期修繕計画の妥当性などです。

認定を受けたマンションが外壁補修や防水工事などの大規模修繕を行うと、翌年度の建物部分の固定資産税が減額されます。減額割合は自治体によって異なりますが、東京23区や横浜市では最大で半額となっています。

これまでこの制度は既存マンションのみが対象でしたが、2027年春をめどに新築マンションにも拡大される予定です。

新築マンションで問われる「修繕積立金」

今回の制度拡充で最も重要なポイントは、修繕積立金の集め方です。
分譲マンションでは、当初の積立金を低く設定し、段階的に引き上げていく「段階増額方式」が一般的でした。購入初期の負担が軽く見えるため、販売上は有利だからです。

しかし、この方式には大きな問題があります。
国土交通省の調査によれば、段階増額方式を採用したマンションのうち、計画通りに積立金を引き上げられた管理組合は約6割にとどまっています。約3割は計画通りに増額できず、修繕資金が不足するケースも少なくありません。

そこで新制度では、30年程度の長期修繕計画において、積立金の最初と最後の差を1.83倍以下に抑えることが基準とされる見込みです。
具体的には、均等方式で集めた場合の水準と比べて、当初は60%以上、最終的には110%以下に収めることが求められます。

固定資産税の軽減と金融面の優遇

新築マンションが認定を受けると、将来の大規模修繕時に固定資産税の軽減を受けられる可能性が生まれます。
これは「将来きちんと修繕できるマンションであること」を前提に、税制面で後押しする仕組みです。

加えて、金融面での優遇も用意されています。
住宅金融支援機構から共用部分のリフォーム資金を借り入れる際の金利優遇や、管理組合向けに発行される債券の利率上乗せなどが想定されています。

つまり、管理計画認定は「税金が安くなる制度」にとどまらず、マンション全体の資金調達力を高める効果も持っています。

購入者・管理組合にとっての意味

この制度変更は、新築マンションの購入者にとって重要な判断材料になります。
毎月の修繕積立金がやや高めに設定されている物件は、これまで敬遠されがちでした。しかし今後は、それが「将来の税負担軽減」や「修繕リスクの低さ」につながる可能性があります。

また、分譲事業者が整えた管理計画を、引き渡し後の管理組合が引き継ぎ、5年ごとに更新していく点も重要です。
形式だけの計画ではなく、継続的な運営が求められるため、管理組合の主体性も問われます。

結論

新築マンションに対する固定資産税の優遇は、「安く買えるか」から「長く維持できるか」へと、評価軸を大きく転換する制度です。
修繕積立金の水準は、単なるランニングコストではなく、マンションの将来価値を左右する要素になりつつあります。

これからマンションを購入する人も、すでに住んでいる人も、「管理」と「税制」が結びつく時代にどう向き合うかが問われています。

参考

・日本経済新聞
「マンションの固定資産税、新築分譲も優遇対象」
「将来、固定資産税の減税を受けられる」とうたう新築マンション分譲に関する記事(2026年1月28日朝刊)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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