教育資金の一括贈与に対する贈与税の非課税措置が、令和8年3月31日で終了します。
8年度税制改正大綱では、期限までに拠出された金銭等については引き続き非課税措置を適用できるとされており、いわゆる「駆け込み適用」は制度上可能です。
もっとも、実務の現場ではすでに注意すべき点が明確になっています。特に、金融機関ごとの申込期限や手続き期間を見落とすと、制度そのものは残っていても「使えない」状況になりかねません。
教育資金一括贈与の非課税措置とは
この制度は、直系尊属(父母や祖父母など)から、30歳未満の子や孫が教育資金として金銭等の贈与を受けた場合、一定の手続きを行うことで、最大1,500万円まで贈与税が非課税となるものです。
非課税の適用を受けるためには、単に贈与を行うだけでは足りず、金融機関等との一定の契約に基づく必要があります。具体的には、次のような形態が想定されています。
- 信託受益権を取得する場合
- 書面による贈与を受けた金銭を銀行等に預け入れる場合
- 書面による贈与を受けた金銭等で証券会社等を通じて有価証券を購入する場合
いずれも、いわゆる「教育資金口座」を開設することが前提となります。
非課税適用のための重要な手続き
制度を利用するためには、教育資金口座の開設等を行ったうえで、「教育資金非課税申告書」を提出しなければなりません。
この申告書は、口座を開設した金融機関の営業所等に対して、信託や預入などを行う日までに提出する必要があります。
実務上は、金融機関が申告書を受理した日が、受贈者の所轄税務署に提出された日とみなされます。
そのため、形式的に3月31日までに資金を拠出すればよいという話ではなく、金融機関側の手続きが完了しているかどうかが極めて重要になります。
駆け込み適用の現実的なハードル
制度終了が明記されたことを受け、信託銀行などでは新規契約や追加信託の申込期限を前倒しで設定しています。
例えば、最大手の信託銀行である 三井住友信託銀行 では、新規・追加信託の申込手続きに1か月以上を要することを踏まえ、申込期限を2月20日までとしています。
さらに、申込みにあたっては事前予約が必要とされており、来店やオンライン面談の枠も限られています。すでに予約自体が取りにくくなっているケースも考えられます。
他の大手信託銀行でも同様に、独自の申込期限や受付条件を設定しているところが多く、制度の期限と金融機関の期限が一致していない点には注意が必要です。
利用件数が減っても、制度ニーズは残っている
制度終了の背景としては利用件数の減少が挙げられていますが、それでも直近の実績では年間6,000件を超える新規契約が行われていました。
教育費の負担が重い家庭にとっては、依然として有効な制度であり、「最後に使えるなら検討したい」と考える人がいるのも自然です。
ただし、今から検討を始める場合は、制度の内容よりもスケジュール管理が最大のポイントになります。
結論
教育資金一括贈与の非課税措置は、制度としては2026年3月末まで利用可能ですが、実務上はすでに時間との勝負に入っています。
特に信託銀行を利用する場合、申込期限・事前予約・手続き期間のいずれかを逃すと、非課税適用が受けられなくなる可能性があります。
「3月31日までなら大丈夫」と考えるのではなく、利用する金融機関の締切を起点に逆算して判断することが重要です。
制度の終了が確定した今こそ、冷静に可否と実行可能性を見極める必要があります。
参考
- 税のしるべ「教育資金一括贈与の非課税措置は3月末で終了、駆け込み適用可も各信託銀行の申込期限等には要注意」(2026年2月9日号)
- 令和8年度税制改正大綱
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

