教育資金はどの時期に、いくらかかる?~「想定進路」を持つことが準備の第一歩~

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

子どもが生まれると、「教育費をどうやって準備すればいいのか」という悩みがつきものです。
日々の育児や生活費に追われる中で、15年、20年先の進路まで想像するのは難しいもの。
しかし、教育資金は“必要な時期と金額がある程度予測できる支出”であり、早めに考え始めるほど余裕を持った準備が可能になります。

1.教育資金は“支出の時期が見えるお金”

教育費の特徴は、支出のタイミングが明確であることです。
幼稚園や保育園の時期からスタートし、小学校、中学校、高校、そして大学へと進むにつれて、金額は段階的に増えていきます。

一般的には、

  • 義務教育までは家計の中でやりくりできる範囲
  • 高校以降は徐々にまとまった支出が増える
  • 大学進学時に一気に資金需要が高まる
    という流れになります。

特に大学進学では、入学金や授業料をまとめて支払う必要があり、進学のタイミングに合わせた準備が不可欠です。

「国立大学ならおおよそ250万円、私立理系なら500万円以上」といった大まかな目安を把握し、どの進路を想定するかを早めにイメージしておくことが大切です。


2.“3本柱”で考える教育資金の積立

教育資金は、「いくら必要か」よりも「どうやって準備するか」で結果が変わります。
おすすめは、次の3本柱を組み合わせる方法です。

  1. 児童手当を貯める
  2. 毎月1万円の積立を続ける
  3. 幼保無償化で浮いた分などを追加で積立する

児童手当だけでも18年間で約200万円以上の資金を確保できます。
さらに、月1万円を積み立てれば200万円前後が上乗せされ、私立文系大学の学費にほぼ届きます。
このように「児童手当+月1万円」が基本形。
さらに余裕があれば「月5,000円追加」で、私立理系を想定した準備にも対応できます。

兄弟姉妹がいる家庭では、個別に口座を分けるよりも「教育資金口座」を一本化して管理する方が無理がありません。


3.貯蓄と投資を組み合わせる設計

教育資金づくりでは、「元本を守る部分」と「増やす部分」をバランスさせることがポイントです。

  • 安全資産(定期預金・個人向け国債)
     → 使う時期が近いお金、急な出費に備える資金に適しています。
  • 運用資産(投資信託・NISAなど)
     → 10年以上の長期で積み立てる資金に向いています。

教育資金のすべてを投資で運用するのはリスクが大きいため、
「元本保証7割+運用3割」を目安に分けておくと安心です。

また、NISA口座は親の名義で開設し、教育費目的の積立商品を明確にしておくと、途中で使途が混ざらず整理しやすくなります。


4.教育資金と老後資金の“線引き”を

「子どものために」と頑張る気持ちは尊いですが、教育費を優先しすぎて老後資金が不足してしまうケースも少なくありません。

教育資金は、必要なら奨学金や教育ローンで補うことができます。
しかし、老後には「老後ローン」はありません。

教育資金の目標額を決めるときには、

  • 親が老後に困らない範囲でどこまで負担するか
  • 奨学金の活用も視野に入れるか
    を明確にしておくことが、家計を守るうえで非常に重要です。

結論

教育資金の準備は、「想定進路」と「時間軸」を決めることから始まります。
児童手当や月々の積立を基礎に、貯蓄と投資を組み合わせてコツコツと続けていけば、18年後に慌てることはありません。

教育と老後の両立を意識し、家計のバランスを保ちながら無理のない準備を心がけましょう。


出典

  • 文部科学省『子供の学習費調査(令和5年度・2023年調査)』
  • 文部科学省『国公私立大学等の授業料等の推移(令和5年度)』
  • 文部科学省『私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(令和5年度)』
  • 厚生労働省『児童手当制度のご案内(最新版)』
  • 前野 彩『本気で家計を変えたいあなたへ〈第6版〉』日経BP/日本経済新聞出版

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました