投資家視点で見るステーブルコイン:利回りとリスクの現実

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ステーブルコインは「ドルや円と常に等しい価値で交換できる」暗号資産です。
価格変動が激しいビットコインなどとは違い、安定性を重視した「仮想通貨の安全版」という位置づけです。

投資家から見ると、単なる決済手段以上に「資産運用の新しい選択肢」として注目されています。


利回りの源泉は?

ステーブルコイン自体は「価格が安定」しているため、値上がり益は狙えません。
では、投資家がなぜ関心を持つのか?答えは「利回り」にあります。

(1) DeFi(金利収入)

分散型金融(DeFi)の仕組みを使うと、ステーブルコインを貸し出して 年数%の利息収入 を得られることがあります。

  • 米国ではUSDCを預け入れ、4〜6%程度 の金利がつく例も。
  • 日本の銀行預金がほぼゼロ金利であることを考えると、大きな差です。

(2) 発行体の利息運用

発行業者は、裏付け資産としてドルや国債を保有します。国債の利回りは投資家に直接還元されませんが、一部のサービスでは利息の一部を利用者に分配 する仕組みも出てきています。


投資家にとってのメリット

  • 為替リスクのないドル建て資産
    USDTやUSDCなどドル連動型を持つことで、ドル建て資産を簡単に保有可能。
  • 高い流動性
    世界中の取引所やウォレットで利用でき、現金化もスムーズ。
  • インフレヘッジ
    円安が進む局面では、ドル連動型ステーブルコインを持つことで資産防衛になる。

投資リスクの正体

安定をうたうステーブルコインにも、当然リスクは存在します。

(1) 信用リスク

発行体が「発行額と同額以上の裏付け資産を保有」していることが前提ですが、その中には国債や社債といった価格が変動する資産が含まれています。
万が一、資産の価値が下落したり、経営が揺らげば 「1ドル=1コイン」の信頼が崩れる可能性 があります。

(2) 規制リスク

米国では「GENIUS法」で枠組みが整いましたが、国によって規制の厳しさは異なります。規制変更で取引制限や利回り提供サービスの停止が起こることも考えられます。

(3) システムリスク

ブロックチェーンの障害や、取引所のハッキング事件など、技術的リスク も無視できません。


投資家が取るべきスタンス

  • 短期運用・ドル資産の代替 として利用する
  • 高金利のDeFiに預ける場合は分散投資(1つのサービスに集中させない)
  • 裏付け資産の開示が透明な発行体を選ぶ(USDCは比較的透明性が高いとされる)

まとめ

ステーブルコインは「投機」ではなく「資産管理・利回り確保」のツールとして進化しています。
ドル資産を持ちながら金利収入を得られる可能性は、投資家にとって大きな魅力です。

ただし、「信用リスク」「規制リスク」「システムリスク」を十分に理解し、安全性と利回りのバランスをどう取るか がカギとなります。

投資家にとってステーブルコインは、次世代の「ドル預金」なのか、それとも「新しいリスク資産」なのか。
それを見極めるのは、これからの数年間の動向次第といえそうです。


📖参考:日本経済新聞「ステーブルコインに脚光」(2025年9月30日付)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO91601950Z20C25A9TLH000/


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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