底地とは、建物を他者が所有する前提で土地を貸し出す仕組みのこと。定期借地契約(20〜50年)を結び、借主から地代を安定的に受け取れるのが特徴です。
- 空室リスクがほぼない
- 建物の維持・修繕コストが不要
- 契約終了後は更地で返還される
これらの特徴から、「ローリスク・ローリターン」の投資対象として、近年注目度が急上昇しています。
底地ビジネスの拡大背景
企業の「資産効率化ニーズ」が拡大の背景にあります。
- 物言う株主(アクティビスト)からの資産売却要求
- 遊休資産を売却し、成長分野へ資金再投資する動き
こうした潮流を背景に、投資ファンドや不動産会社が「土地だけを買い取る」ケースが増えています。
📊 日本不動産研究所によれば、底地の累積取引額は…
- 2013年:約1.7兆円
- 2023年:6.48兆円(10年前の3.7倍)
- 2026年予測:9.65兆円
- 2030年予測:16.4兆円
市場規模は急速に拡大しており、投資家にとって新しい収益源となりつつあります。
投資家視点から見た魅力と利回り
底地投資の最大の魅力は 安定収益 です。
- 分配金利回りは 4%前後
- 株式より安定的で、債券より高い水準
- 長期契約に基づき、キャッシュフローが読みやすい
派手な値上がり益は狙えませんが、「資産ポートフォリオの安定収入源」 として有効です。
投資リスクと注意点
もちろん、リスクも存在します。
- 地代改定リスク
インフレ下で賃料が改定されないと、実質利回りは低下します。 - 流動性リスク
市場が拡大しているとはいえ、一般的な住宅投資よりは売却しにくい側面があります。 - 契約終了時リスク
更地返還後も、次の借り手がすぐ見つかるとは限りません。 - 相対的な見劣り
株式や高利回りの不動産投資が好調な局面では、底地の魅力が薄まる可能性があります。
一般投資家が始める方法
企業と直接契約するのは難しいため、一般投資家は 金融商品を通じて底地に関わる のが現実的です。
1. REIT(不動産投資信託)を通じて投資
- 証券会社を通じて数万円から購入可能
- 分配金利回りはおおむね 3〜5%
- 底地を一部含む銘柄例:
- NBF(日本ビルファンド):一部物件で底地を運用
- 産業ファンド投資法人(IIF):物流施設や工場の底地案件を含む可能性
2. 私募REITやファンドに投資
- 例:地主が運用する「底地特化型私募REIT」
- 分配金利回りは4%前後
- ただし、富裕層・機関投資家向けが中心(数千万円規模から)
3. クラウドファンディング型不動産投資
- 一般投資家向けに少額(1万円〜)から可能
- プラットフォーム例:
- CREAL(1万円〜、利回り3〜6%)
- COZUCHI(1万円〜、再開発案件など多彩)
- OwnersBook(1万円〜、上場企業グループ運営で安心感)
クラウド型では、案件ごとに「優先劣後構造」「空室保証」「信託分別管理」などリスクヘッジの仕組みを必ず確認しましょう。
実践ステップ:始め方の流れ
- 情報収集:REITのIR資料やクラウド案件ページを読み込み、ポートフォリオを把握
- 少額でトライ:まずはクラウド型で1〜10万円から経験を積む
- 分散投資:複数の銘柄・案件に分けて投資
- 契約条件を精査:地代改定・契約終了時の処理を必ず確認
- 出口戦略を意識:分配金再投資や売却のタイミングを計画的に
まとめ
「底地ビジネス」は、企業にとっては資産効率化の手段であり、投資家にとっては 安定収入を確保する新しい投資対象 です。
- 安定利回りは年4%前後
- 長期契約でキャッシュフローが読みやすい
- リスクは「地代改定」「流動性」「契約終了時」に集中
一般投資家であれば、REITやクラウドファンディングを通じて少額から関われます。
派手さはありませんが、資産運用の「土台」を作る選択肢として、今後ますます注目されそうです。
📖参考
「底地ビジネス」10兆円市場:日本経済新聞(2025年9月29日付)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
