2025年9月、公募型の投資信託(ETFを除く)に 1兆3025億円もの資金が流れ込みました。5カ月ぶりに「1兆円超え」となり、投資家の関心が再び高まっていることがわかります。
その背景には、新しいNISA(少額投資非課税制度) の存在があります。では、NISAと投資信託の関係はどうなっているのでしょうか?
NISAが投資信託の「受け皿」になっている
2024年から始まった新しいNISAは、投資で得た利益や分配金が非課税になる制度です。
生涯で1,800万円まで投資でき、うち1,200万円は成長投資枠(株式やアクティブファンドも対象)、600万円はつみたて投資枠(インデックス型投信中心)として使えます。
制度が拡充されたことで、「長期・積立・分散」に適した投資信託がNISA口座の中で選ばれやすくなりました。特に毎月の積立購入がしやすいため、自然と投資信託に資金が流れ込む仕組みができています。
実際に人気なのは「世界株」と「米国株」
9月の流入額トップは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」でした。
NISAを使う個人投資家にとって、世界中の株式市場に一度に分散投資できるオルカンは、まさに「つみたて投資枠」の王道商品といえます。
また、米国株に投資するファンドも人気を取り戻しています。
NISAの非課税メリットを最大限活用するには、成長が見込める海外株式ファンドに長期投資するのが合理的だからです。
「毎月分配型ファンド」とNISAの相性は?
一方で、毎月分配型のファンドにも資金が流入しました。
「分配金が毎月もらえる」安心感から根強い人気がありますが、注意が必要です。
NISAでは分配金も非課税になる一方で、分配金を受け取ってしまうと再投資の効果が弱まるというデメリットがあります。長期的な資産形成を目的にするなら、再投資型のファンドのほうが効率的な場合が多いのです。
日本株ファンドとNISA
9月は日経平均が最高値を更新しましたが、日本株投信は176億円の流出でした。
「NISAで非課税だからこそ、利益が出たら売って現金化する」という投資家心理も働いたようです。
ただし、新しく登場した「ジャパン・クリエイティブコンテンツ関連株ファンド」には資金が集まり、NISAの成長投資枠を活用してテーマ型ファンドに投資する動きも確認されています。
投資家へのアドバイス ― NISAをどう使う?
今回の動きから、投資家がNISAを活用する際のヒントが見えてきます。
- つみたて投資枠では王道ファンドを
「オルカン」や「S&P500」といったインデックスファンドが基本。非課税メリットを最大限活かすには長期保有が前提です。 - 成長投資枠はメリハリをつけて
米国株やテーマ株など成長性のある投資信託を選ぶ。ただし分散投資を意識することが重要です。 - 分配型は慎重に検討
NISA口座で受け取る分配金は非課税ですが、長期的な資産形成を考えるなら再投資型の方が効率的な場合が多いです。
まとめ
- 9月の投信流入額は 1兆円超え
- 背景には 株高・円安+新NISAの効果
- NISAを通じた資金流入は「世界株」「米国株」に集中
- 毎月分配型やテーマ型も一定の需要はあるが、使い方には注意
新NISAが始まってから1年半。制度の定着とともに、投資信託市場への資金流入が再び活発化しています。
NISAは「資産形成の土台」として長期的に活用できる制度です。
今回のデータをヒントに、自分の目的にあった投資信託を見直してみてもよいかもしれません。
📌 参考:
日本経済新聞朝刊(2025年10月3日付)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

