投資信託で積み立てるなら ― 長期運用に強い「インデックス型」という選択

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資産運用を始めるとき、まず考えるべきは「何に、どのくらい投資するか」という資産配分(アセットアロケーション)です。たとえば、国内株式に20%、先進国株式に50%、債券に30%といった具合です。そして実際に投資する際には、個別銘柄を選ぶか、投資信託を通じて分散投資をするかを決めることになります。
近年、投資信託を使った積立投資では「インデックス型」が主流となっています。その理由を、コストとリターンの両面から見ていきましょう。


インデックス型とアクティブ型 ― 長期ではどちらが有利か

投資信託には大きく分けて2つのタイプがあります。
1つは「インデックス型」。日経平均やS&P500などの市場指数(ベンチマーク)に連動する運用を目指すものです。
もう1つは「アクティブ型」。市場平均を上回るリターンを狙い、独自の銘柄選定で運用するタイプです。

短期間ではアクティブ型が優れた成績を上げることもありますが、10年、20年といった長期になると、インデックス型が優勢になる傾向があります。その理由の一つが「コストの差」です。


コストの違いが長期成績を左右する

投資信託の主なコストは、購入時手数料と信託報酬(運用管理費用)の2つ。
購入時手数料はネット証券などで無料化が進んでおり、今では信託報酬の差が実質的なポイントです。

信託報酬は、ファンドを保有している限り毎日かかり続けます。たとえばアクティブ型とインデックス型で年1%の差があれば、10年後には単純計算で10%もの差になります。運用が複利で行われることを考えると、この差は無視できません。
長期で資産形成を目指すなら、低コストのインデックス型が有利と言われるのはこのためです。


インデックス型を選ぶ前に ― 指数を理解しよう

インデックスファンドを選ぶときは、「どの市場指数に連動しているか」を確認するのが基本です。
代表的な指数をいくつか挙げてみましょう。

  • 日本株式:日経平均株価、TOPIX
  • 米国株式:S&P500、ダウ平均株価
  • 先進国株式:MSCIワールド、MSCIコクサイ(除く日本)
  • 全世界株式:MSCIオールカントリー・ワールド・インデックス(ACWI)、FTSEグローバル・オールキャップ

たとえば「全世界株式」に連動するファンドは、世界中の企業にまとめて投資できるのが特徴です。MSCI ACWIは47カ国・約2500銘柄をカバーし、FTSEグローバル・オールキャップは小型株まで含めた約1万銘柄を対象にしています。
どちらも米国株の比率が6割前後を占めており、世界経済の中心が米国であることを反映しています。


近年の値動きから見たインデックス投資の成果

三菱UFJアセットマネジメント社の「eMAXIS Slim」シリーズによると、2019年初から2025年9月までの間、全世界株式・先進国株式・米国株式のいずれも右肩上がりで成長しています。
コロナ禍で一時的に下落したものの、その後の回復とともにリターンを積み重ね、特に米国株式ファンドの上昇が際立ちました。

ただし、どの国が今後最も成長するかを正確に見通すのは難しいため、世界全体に分散できる「全世界株式ファンド」を選ぶ戦略が、リスクを抑えながら平均的に高いリターンを目指す上で有効といえます。


同じ指数なら「低コスト×大規模」が鉄則

同じ指数に連動するファンドは、値動きがほぼ同じになります。したがって、信託報酬が低いファンドを選ぶのが基本方針です。
加えて、純資産総額が大きいファンドは資金の流出入に左右されにくく、安定した運用が期待できます。

NISAの「つみたて投資枠」でも、インデックスファンドが約8割を占めています。2018年に制度設計を議論した金融庁のワーキング・グループでは、コストが低く値動きがわかりやすいインデックス型こそ、長期・分散・積立投資に最適だと位置づけられました。


結論 ― 投資の「基本形」はインデックス積立

長期の資産形成では、コストの低さと安定したリターンが大切です。
インデックスファンドは市場全体に分散し、手間をかけずに経済成長の果実を取り込める「投資の基本形」といえます。

アクティブ型ファンドも選択肢の一つですが、まずはインデックス型を軸に、余力があれば少額でアクティブ型を組み合わせるのが現実的です。
目論見書や運用レポートを確認し、ベンチマーク・信託報酬・純資産総額・組入銘柄などをチェックして、自分の目標に合った投資信託を選びましょう。


出典

  • 公益社団法人 日本FP協会「投資信託での積み立てはインデックス型が主流」(FPジャーナルコラム)
  • 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim」シリーズ「設定来データ」より

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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