年金世代・50代から見た「残クレ」住宅ローンの危うさ――返済が終わらない住宅ローンという選択

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2026年に登場予定の「残価設定型住宅ローン(残クレ)」は、毎月返済額を抑えられる新しい選択肢として注目されています。
しかし、この仕組みは本当に50代や年金世代にとって適した住宅ローンなのでしょうか。
結論から言えば、年齢が上がるほど、残クレは慎重に扱うべき制度です。理由は「返済が軽く見える」点そのものにあります。

50代の住宅ローンは「時間」が最大の制約

50代で住宅ローンを組む場合、最大の制約は返済期間です。
一般的な住宅ローンでは、完済年齢を80歳前後に設定するケースが多く、実質的な返済期間は20〜30年に限られます。
この段階で重要になるのは、
・いつ返済が終わるのか
・退職後の返済負担はどうなるのか
という「出口」の見通しです。

残クレは「出口」が意図的にぼかされている

残クレの特徴は、将来の売却を前提に「残価」を据え置く点にあります。
毎月返済する元本から残価を除外することで、当面の返済額は軽くなります。
しかし、その代償として、
・残価は減らない
・利息は残価を含めた総額にかかる
という構造が生まれます。
これは言い換えれば、「借金の一部を将来に先送りする仕組み」です。

年金世代で顕在化する「利息だけ払い」の現実

今回の制度では、残価以外の元本返済が終わった後、残価部分については利息のみを支払い続ける形になるとされています。
この段階は、ちょうど年金生活と重なる可能性が高くなります。
つまり、
・収入は年金中心
・元本は減らない
・利息支払いだけが続く
という状態に入るリスクがあります。
住宅ローンを完済した安心感とは、正反対の状況です。

「死亡時に売却すればいい」という発想の落とし穴

残クレでは、契約者が死亡した際に住宅を売却し、残価を回収する仕組みが想定されています。
売却額が残価を下回っても、公的保険で金融機関は守られます。
しかし、この仕組みが守るのは金融機関であり、生活の安定ではありません。
・住み続けられる保証はあるのか
・配偶者が住み替えを迫られないか
・相続人に選択肢は残るのか
といった論点は、制度設計とは別の次元で考える必要があります。

50代以降に必要なのは「軽さ」より「確実さ」

若年層にとっては、残クレの「毎月返済額の軽さ」は大きな魅力になります。
しかし50代以降では、
・返済総額が見えているか
・完済時期が明確か
・老後資金と競合しないか
といった確実性の方が重要です。
住宅ローンが「生きている限り続く負担」になる設計は、年金世代には相性が良いとは言えません。

結論

残価設定型住宅ローンは、「今」を楽にする制度です。
しかし、50代・年金世代にとって重要なのは「いつ終わるか」「老後に残らないか」という視点です。
返済額が軽く見えるローンほど、将来の負担は見えにくくなります。
住宅ローンは金融商品であると同時に、老後設計そのものです。
残クレを検討する場合は、月々の返済額ではなく、人生の最後まで含めた負担の姿を必ず確認する必要があります。

参考

・日本経済新聞「<ニュースが分かる>『残クレ』住宅ローンの実力は」(2026年1月24日朝刊)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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