年金世代の収入設計は、現役時代の延長線で考えると失敗しやすくなります。
年金・給与・副収入が絡み合い、税金や社会保険の影響も複雑になるため、「なんとなく働く」「不安だから収入を増やす」という判断では、かえって生活の満足度を下げてしまうことがあります。
本稿では、60代以降の収入設計を考える際に確認しておきたいポイントを、チェックリスト形式で整理します。
チェック① 年金はいくら受け取れるか把握しているか
まず確認すべきは、公的年金の受給見込み額です。
年金は老後収入の土台であり、ここを把握しないまま収入設計を考えると、判断がすべて曖昧になります。
月額・年額の目安を把握し、「最低限の生活費をどこまで賄えるか」を整理しておくことが重要です。
チェック② 生活費の「最低ライン」を決めているか
収入設計の前提として、毎月いくらあれば生活できるのかを明確にする必要があります。
理想の生活費ではなく、「最低限これだけは必要」というラインを把握しているかがポイントです。
この金額が分からないまま働くと、不安から必要以上に収入を求めてしまいがちです。
チェック③ 働き方を「フルタイム前提」にしていないか
60代以降もフルタイムで働き続ける前提になっていないかを確認します。
体力、健康、家族の事情などを考えると、長期間のフルタイム勤務が難しくなる可能性は誰にでもあります。
「減らしても成り立つ設計」になっているかが重要です。
チェック④ 在職中の年金調整を意識しているか
年金を受け取りながら働く場合、収入によっては年金が調整されることがあります。
額面収入が増えても、手取りではあまり変わらないケースもあるため、「働き損」になっていないかを確認する視点が欠かせません。
収入の上限を意識せずに働いていないかを見直します。
チェック⑤ 税金・社会保険の影響を合算で見ているか
給与、年金、副収入を個別に見るのではなく、合算したときの税金や社会保険料を意識しているかを確認します。
副収入が少額でも、他の収入と合わさることで負担が増えることがあります。
額面ではなく、最終的な手取り額で判断できているかが重要です。
チェック⑥ 副収入を過度に期待していないか
副収入を「老後生活の主な支え」として期待しすぎていないかを確認します。
60代以降の副収入は、大きく稼ぐよりも、無理なく続けられることが重要です。
収入が途切れても生活が破綻しない設計になっているかを見直します。
チェック⑦ 収入が減った場合の想定をしているか
病気や家族の介護などで、突然働けなくなる可能性を想定しているかも重要なチェックポイントです。
一時的に収入が減っても生活を維持できるか、貯蓄や支出調整の余地があるかを確認します。
チェック⑧ 退職金・企業年金の受け取り方を整理しているか
退職金や企業年金を、一時金で受け取るのか、分割で受け取るのかを整理しているかを確認します。
受け取り方によって、税金や他の収入とのバランスは大きく変わります。
短期的な損得だけで判断していないかを見直します。
チェック⑨ 収入と「生活の質」のバランスを考えているか
収入を確保することばかりに意識が向き、自由な時間や健康、家族との時間を犠牲にしていないかを確認します。
年金世代では、収入の多さよりも、生活の満足度が重要になる場面も増えてきます。
チェック⑩ 収入設計を「定期的に見直す」前提になっているか
年金世代の収入設計は、一度決めたら終わりではありません。
体調や制度、家計状況の変化に応じて、柔軟に見直す前提になっているかが重要です。
固定的な考え方になっていないかを振り返ります。
結論
年金世代の収入設計で大切なのは、「いくら稼ぐか」ではなく、「どの状態なら安心して暮らせるか」を基準に考えることです。
チェックリストを通じて、自分の収入設計を客観的に確認することで、働きすぎや不安の連鎖を防ぐことができます。
50代のうちからこの視点を持つことが、後悔の少ない年金生活につながります。
参考
・日本経済新聞「〈ライフスタイル 働く〉『上司は年下』悩む50代 現在の貢献にプライド持つ」(2026年2月3日夕刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

