AI相談は、年金世代にとって非常に便利な存在です。
制度の概要を知る、選択肢を整理する、考えを言語化する。
こうした場面では、これ以上ないほど役に立ちます。
しかし、AI相談がどれだけ進化しても、
人に相談すべき瞬間は確実に存在します。
問題は、その瞬間が分かりにくいことです。
「もう少しAIで調べれば大丈夫そう」
「今さら人に聞くほどでもない」
そう思ったときこそ、判断を誤りやすくなります。
本稿では、年金世代が迷わず人に相談すべきタイミングを、
チェックリスト形式で整理します。
一度保存して、迷ったときに見返せる内容を目指します。
チェック① 金額が「確定」する直前
次のような場面に当てはまったら、AIではなく人に相談すべきです。
・申請書や届出書に金額を記入する
・契約書に署名・押印をする
・振込や解約の最終確認を求められている
AI相談は金額の計算や目安を示すことはできます。
しかし、その金額が本当に妥当か、
将来にどんな影響が残るかまでは保証しません。
「もう提出するだけ」
「最後の一押しだけ」
この段階は、最も危険なポイントです。
チェック② 一度決めると戻せない選択
次の選択肢が見えたら、人に相談する合図です。
・年金の受給開始時期を決める
・老後資金の取り崩し方針を固める
・住まいを売却・処分する
これらは、後から修正できない、または修正が難しい判断です。
AIは「一般的にはこうです」と説明しますが、
やり直しが効かない現実を引き受けることはできません。
「一度決めたら長く続くか?」
そう感じたら、人の視点が必要です。
チェック③ 家族が関係してくるとき
次の言葉が頭に浮かんだら、AIだけで進めるべきではありません。
・子どもにどう説明すればよいか
・配偶者はどう感じるだろうか
・兄弟姉妹と揉めないだろうか
相続、贈与、住まい、介護。
家族が関わる話題は、正解よりも納得感が重要です。
AIは制度の整理はできますが、
家族関係の微妙な空気や感情を読み取ることはできません。
チェック④ 不安が消えないとき
AI相談をしても、
・なぜかモヤモヤが残る
・夜に考え直してしまう
・人に話したくなる
こうした感覚があれば、それ自体がサインです。
不安が残る理由は、
「情報が足りない」のではなく、
「誰かと確認したい」からであることが多いからです。
年金世代にとって、不安は軽視すべきものではありません。
安心できない判断は、後悔につながりやすい判断です。
チェック⑤ AIの答えが毎回変わるとき
同じ質問をしているのに、
・聞き方を変えると結論が変わる
・前回と微妙に違う答えが出る
この状態になったら、人に相談すべき段階です。
AIは前提条件に敏感です。
質問が少し変わるだけで、結論も揺れます。
これはAIの欠点ではなく、
前提が整理しきれていないサインでもあります。
前提を整理する役割こそ、人の専門家が力を発揮する場面です。
チェック⑥ 「自己責任」という言葉が浮かんだとき
AI相談をしている最中に、
「結局は自己責任だな」
という言葉が頭に浮かんだら要注意です。
年金世代では、
自己責任=取り返しがつかない
という意味を持つことがあります。
誰かと責任を分かち合う、
少なくとも確認してもらう。
それだけで、判断の質は大きく変わります。
チェック⑦ 専門用語が増え始めたとき
AI相談を進めるうちに、
・専門用語が増えてきた
・制度の枝葉に迷い始めた
この状態は、理解が進んだ証拠でもありますが、
同時に迷路に入りかけている状態でもあります。
枝葉に入る前に、
「そもそも何を決めたいのか」
を整理してもらう価値があります。
チェック⑧ 人に説明できないとき
AI相談の内容を、
家族や知人に説明しようとして、
うまく言葉にできなかったら要注意です。
理解したつもりでも、
本当に理解しているとは限りません。
人に説明できない判断は、
自分でも腹落ちしていない判断であることが多いのです。
結論
年金世代にとって、AI相談は非常に強力な道具です。
しかし、それは判断の代行者ではありません。
金額が確定するとき。
戻れない選択を迫られたとき。
家族が関わるとき。
不安が消えないとき。
こうした瞬間こそ、
人に相談する価値が最も高まります。
AIで整理し、
人で確認し、
人で決める。
この流れを守ることが、
年金世代がAI時代を安心して生きるための、
最も確実なチェックリストです。
参考
・日本経済新聞
「閲覧ソフト、AI企業も参入 『秘書』機能で新たな競争 グーグルの牙城なお堅く」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

