1年を通して投資をしている人にとって、年末は「税金と資産のバランス」を見直す重要なタイミングです。特に2025年は株価が強く推移したため、利益が出ている人も多く、NISA・iDeCo・課税口座の使い分けを工夫することで手取りが大きく変わります。
本記事では、投資初心者でも無理なく実践できるように、「年末にやるべきことだけ」に絞ってポイントを整理します。
1. NISAの“使い切り”を確認する
新NISA制度では、つみたて投資枠120万円/成長投資枠240万円が用意されており、使える枠をしっかり活用すると将来の税負担が大きく変わります。
年末に確認したいのは次の2点です。
- つみたて投資枠の未使用分がないか
- 成長投資枠で「長期で持ちたい投資信託・ETF」を年内に仕込むべきか
特に、年末は枠が残ったままになるケースが多く、つみたて設定の金額が不足していた場合にはボーナス月で増額設定して枠を使い切る選択肢もあります。
2. 利益が出ている人は“どこで利確するか”を決める
2025年は株価が高値圏で推移したため、含み益が出ている人も多い一方、そのまま放置しているケースも多く見られます。
年末に一度立ち止まり、次の点を考えてみてください。
- 長期で持つ予定がない銘柄
- 生活防衛資金を減らして投資してしまっている
- ポートフォリオの比率が偏っている
これらは、年末に一部利確して調整することでリスクを減らせます。
もちろん、NISA口座内での売却は利益が非課税のまま確定するため、税負担を気にせず利確できる点が魅力です。
3. iDeCoは“年内の掛金上限まで積み増し”できる
iDeCoは掛金がそのまま所得控除となり、節税効果が非常に大きくなります。年収が高い人ほど効果が大きく、
毎月の掛金 × 所得税率・住民税率 = 節税額
で計算できます。
年末に確認するポイントは次のとおりです。
- 年内の掛金を上限まで積み増すか
- ボーナス支給時に掛金の引き上げが必要か
- 転職・育休などで掛金変更が必要か
とくに2025年度の制度改正で、受取り方の選択肢が拡大したため、iDeCoの老後資金としての使いやすさは大きく改善しています。
4. 課税口座では“損益通算”が節税のカギ
NISAやiDeCoでは損益通算はできませんが、一般の証券口座(課税口座)では含み損のある銘柄の売却で、利益と相殺できる仕組みがあります。
例
- A株:50万円の利益
- B株:50万円の損失
➡ 損益通算により税負担ゼロ。
特に年末は、損益通算の実施期限が迫るため注意が必要です。
12月26日までに約定した売買が“今年分”として計算されます。
年末ギリギリだと翌年分になり、節税に使えないため注意してください。
5. 現金と投資のバランスを年末に見直す
投資が好調な時ほど、現金比率が低下しがちです。
年末は次の点をチェックしましょう。
- 生活防衛資金(6か月〜1年)が確保されているか
- 投資比率が高くなりすぎていないか
- 緊急時に使える現金が不足していないか
株価が高値圏のときほど、ポートフォリオに偏りが生じます。
年末のタイミングで一度バランスを見直すことで、翌年の投資リスクを大きく下げることができます。
6. 投資初心者は「やることを3つ」に絞ると続けやすい
投資を始めたばかりの人は、以下の3つだけやれば十分です。
- ① NISAつみたて枠を使い切る
- ② iDeCoの掛金を上限に近づける
- ③ 現金比率を適正範囲にする(投資しすぎない)
この3点を実行していれば、長期の資産形成としては十分に優秀です。
細かい銘柄選びよりも、「枠の使い方」と「手数料の低い投資信託選び」が重要です。
結論
年末は、投資をしている人にとって最も大切な“調整と最適化”のタイミングです。
- NISA枠の残りを使い切る
- 利確・損益通算を計画的に行う
- iDeCoの掛金を年内最適化
- 現金と投資のバランスを見直す
これらの作業は難しそうに見えますが、いずれも年末にまとめて行うことで効果が大きくなります。
来年の資産形成をより確実に進めるために、12月のうちに無理のない範囲で取り組んでみてください。
出典
・金融庁「NISA制度」
・国税庁「上場株式等の税制」
・厚生労働省「iDeCo(個人型確定拠出年金)」
・各種公表資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
