2026年に入り、世界の金融市場に不穏な空気が広がっています。
日本国債の急落を起点に長期金利が跳ね上がり、その波紋は米国や欧州の金利市場、さらには株式市場へと波及しました。加えて、米国と欧州の間で浮上した領土問題を伴う対立が、地政学リスクとして投資家心理を冷やしています。
本稿では、日本経済新聞の記事を手がかりに、今回の市場動揺がなぜ「日米を震源」として広がったのか、そして生活者・投資家はどの点に注意すべきかを整理します。
日本国債市場で起きていること
今回の動揺の出発点は、日本の国債市場です。
次期衆院選を前に、与野党がこぞって消費税減税を掲げる構図が明確になりました。一方で、財源については具体像が示されておらず、市場では財政運営への不安が強まりました。
その結果、超長期国債を中心に売りが先行し、40年国債利回りは一時4%台に達しました。これは日本の金利環境としては異例の水準です。翌日には反動でやや低下したものの、取引は薄く、落ち着きを取り戻したとは言い難い状況が続いています。
特に注目すべきは、国内の機関投資家が慎重姿勢を強めている点です。生命保険会社や銀行は、含み損や減損リスクを意識せざるを得ず、利回りが高いからといって安易に超長期債を買い増す局面ではなくなっています。
海外に波及した「日本発」の金利ショック
日本国債市場の混乱は、国内にとどまりませんでした。
日本の長期金利上昇を受け、米国の長期金利も一時4.3%台まで上昇し、英国やドイツの国債利回りも連動して上昇しました。
背景には、日本国債市場における海外投資家の存在感の高まりがあります。特に超長期債では、海外勢の売買が価格形成に与える影響が大きく、財政懸念が強まると資金が一斉に引き揚げられやすい構造になっています。
海外の運用会社が日本の超長期国債の持続的な買い入れを見送ったとの報道は、市場に「日本国債は安全資産か」という根源的な問いを突きつけました。これは短期的な価格変動以上に、長期的な信認に関わる問題です。
株式市場が敏感に反応した理由
金利上昇は株式市場にも影響を与えました。
東京株式市場では日経平均株価が5営業日連続で下落し、年初からの上昇分を削る展開となりました。
象徴的だったのが、不動産株と金融株の下落です。不動産株はインフレ耐性が評価されてきましたが、金利上昇は有利子負債の利払い負担を直接押し上げます。金融株についても、金利上昇が必ずしも追い風にならない点が意識されました。急激な金利変動は、保有国債の含み損拡大や貸出需要の減退につながるためです。
日本の金融機関は、長期にわたる低金利環境の中で、相対的に利回りの高い超長期国債への投資を増やしてきました。金利急騰局面では、これが逆に市場の不安定要因となり得ます。
米欧対立という「第二の震源」
今回の市場調整には、地政学リスクも重なりました。
米国がデンマーク自治領グリーンランドを巡って欧州と対立し、追加関税や報復措置の応酬が意識される展開となりました。
この問題が厄介なのは、単なる貿易摩擦ではなく「領土」を絡めた対立である点です。妥協が難しく、長期化しやすいとの見方が市場に広がりました。欧州が保有する米国債を交渉カードとして使うのではないか、という観測まで浮上し、投資家心理を冷やしました。
結果として、米国株式市場でも大きな調整が入り、日本市場では欧州向け売上比率の高い輸出株が売られる展開となりました。
結論
今回の市場動揺は、単一の要因では説明できません。
日本の財政運営への不安が国債市場を揺らし、その金利上昇が世界に波及しました。そこへ米欧対立という地政学リスクが重なり、株式市場の調整を招いたのです。
重要なのは、これが一過性の混乱で終わるかどうかは、政策の説明力と市場との対話にかかっている点です。財政規律と成長戦略の両立について、どれだけ具体的な道筋を示せるかが問われています。
生活者や投資家にとっては、「金利が動く局面では何が同時に動くのか」を冷静に見極めることが重要です。国債、株式、為替、そして政治。これらは切り離せない関係にあり、その連動を意識することが、これからの不確実な時代を読み解く手がかりになるでしょう。
参考
・日本経済新聞「市場動揺、日米が震源」(2026年1月22日朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

