年末が近づくと、1年のお金の使い方を振り返っておきたいと考える人も多いのではないでしょうか。ただ、家計管理と聞くと、家計簿をきちんと付けていないことが気になり、振り返り自体を後回しにしてしまうこともあります。
しかし、家計を見直すために、必ずしも日々の記録がそろっている必要はありません。大切なのは、1年を通じたお金の流れを大まかに把握し、自分なりに納得できる使い方だったかを確認することです。年末は、そのための時間を確保しやすい節目です。
家計簿がなくても振り返りはできる
家計簿を付けようとして途中でやめてしまった経験は、決して珍しいものではありません。細かく記録しようとするほど負担が増え、続かなくなるケースは多く見られます。
家計管理の目的は、数字を正確にそろえることではなく、お金の使い方を理解することです。そのため、年末の振り返りでは、まず家計の全体像をつかむことを優先します。
収入と貯蓄から支出の全体像をつかむ
家計の中で把握しやすいのは、収入と貯蓄です。収入は給与明細などを見れば年間の手取り額を確認できます。貯蓄についても、年初と年末の預金残高を比べることで、1年間にどれくらい増減したかが分かります。
ここから、支出の総額を逆算します。例えば、1年前より預金残高が50万円増えており、年間の手取り収入が400万円だった場合、年間の支出は350万円だったと考えられます。この方法であれば、細かい記録がなくても、家計の輪郭を把握できます。
支出の中身は「満足度」で振り返る
支出の総額が見えたら、次は中身の振り返りです。ここで重要なのは、金額の大小ではなく、満足度です。
レシートが残っている場合は、買って良かったと感じるものと、後悔が残ったものを思い出してみましょう。例えば、価格は高くても日常的に役立ち、生活を快適にしてくれたものは、満足度の高い支出といえます。一方、ポイント還元を意識して追加購入したものの、結局使わなかったものなどは、後悔が残りやすい支出です。
レシートを保管していない場合でも、心配はいりません。オンラインショッピングの購入履歴や、クレジットカードの利用明細を見返すことで、どのような支出が多かったかを確認できます。すべてを細かく分析する必要はなく、「これは良かった」「これはいらなかった」と感じる支出を拾い上げるだけで十分です。
「後悔した支出」から行動の癖を知る
満足度の低かった支出を振り返ると、自分の行動の癖が見えてきます。忙しいときに衝動的に買ってしまったもの、割引や特典につられて購入したものなど、共通点がある場合も少なくありません。
年末の振り返りでは、これらを反省材料として責めるのではなく、「次に同じ場面が来たらどうするか」を考えることが大切です。買う前に少し時間を置く、比較する時間を取るなど、小さな工夫で無駄な出費は減らしやすくなります。
明細を使って支出の傾向を確認する
個別の買い物を振り返るのが負担に感じる場合は、クレジットカードの利用明細や口座の引き落とし履歴を活用します。どの費目に多く使っていたかをざっと眺めるだけでも、自分の支出傾向が見えてきます。
ここでも重要なのは、細かく分類することではなく、偏りを知ることです。食費が多かったのか、交際費が増えていたのかといった点を確認することで、来年に向けた調整のヒントになります。
年末の振り返りは来年への準備
年末の家計振り返りは、節約の反省会ではありません。1年のお金の使い方を整理し、来年をどう過ごしたいかを考えるための準備です。
赤字になっていたとしても、旅行や大きな買い替えなど理由が明確であれば、それは生活の選択の結果です。重要なのは、その支出に納得できているかどうかです。
結論
家計簿がなくても、年末の家計振り返りは十分に行えます。収入と貯蓄から全体像を把握し、支出を満足度という視点で見直すことで、自分なりのお金の使い方が見えてきます。
完璧な管理を目指す必要はありません。年に一度立ち止まり、振り返る時間を持つことが、無理のない家計管理につながります。
参考
- 日本経済新聞「<ステップアップ>家計簿使わず支出振り返り あの買い物の満足度確認」
- 日本経済新聞「<ステップアップ>手間なく全体像を把握」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

