家計管理という言葉に対して、「毎日きちんと記録するもの」「几帳面な人だけができるもの」という印象を持っている人は少なくありません。家計簿を付けようとして挫折した経験がある人ほど、その意識は強いでしょう。
しかし、本シリーズで見てきたように、家計管理の本質は記録そのものではありません。大切なのは、節目ごとに立ち止まり、お金の使い方を振り返ることです。続かない方法にこだわるよりも、自分に合った向き合い方を見つけることが、家計管理を続ける近道になります。
家計管理の目的を整理する
家計管理の目的は、支出を極限まで減らすことではありません。収入や貯蓄とのバランスを確認し、自分の生活に合ったお金の使い方になっているかを確かめることです。
そのためには、すべての支出を正確に記録する必要はありません。全体の流れを把握し、納得できる使い方だったかを振り返るだけでも、家計管理としては十分です。
節目ごとの振り返りが支えになる
本シリーズでは、年末、年度末、半年に一度の定期点検、そしてライフイベントの前後といった節目での振り返りを紹介してきました。
年末には、その年のお金の使い方に納得できたかを確認します。年度末には、思っていた家計と現実の家計のズレを見ます。半年に一度の点検では、惰性で続いている支出がないかを確認します。そして、生活に変化が起きたときには、家計の前提そのものを見直します。
これらはすべて、家計簿がなくても行える作業です。
「消費・浪費・投資」で支出を受け止める
支出を振り返る際に役立つのが、消費・浪費・投資という視点です。生活に必要な支出、楽しみや気分転換のための支出、そして将来や生活の質につながる支出を分けて考えることで、お金を使ったこと自体を責めずに済みます。
浪費を完全になくすことが目的ではありません。自分にとって意味のある支出がどれなのかを知ることが、次の判断を楽にしてくれます。
家計簿が続かなかった経験を否定しない
家計簿が続かなかった経験は、失敗ではありません。その方法が自分に合っていなかっただけです。合わない方法を無理に続けようとすると、家計管理そのものから距離を置いてしまいます。
振り返り型の家計管理は、完璧さを求めません。多少あいまいでも、節目ごとに確認する習慣があれば、家計は大きく崩れにくくなります。
家計は変わり続けるもの
家計は、一度整えれば終わりではありません。年齢や家族構成、働き方、価値観の変化によって、お金の使い方は自然と変わっていきます。
だからこそ、家計管理には柔軟さが必要です。「これまでこうしてきたから」という理由だけで続けるのではなく、「今の生活に合っているか」を問い直すことが、長く家計と付き合っていくためのポイントになります。
続けられる形を選ぶ
家計管理に正解はありません。記録が向いている人もいれば、振り返りが向いている人もいます。大切なのは、続けられる形を選ぶことです。
節目ごとに立ち止まり、自分なりに振り返る時間を持つ。それだけでも、家計は十分に管理されています。
結論
家計管理は、毎日の記録よりも、振り返りを続けることが大切です。完璧な管理を目指す必要はありません。節目ごとにお金の使い方を確認し、納得できる形に整えていくことが、無理のない家計管理につながります。
記録が続かなくても構いません。家計と向き合うことをやめない。その姿勢こそが、長い人生を支える家計管理の土台になります。
参考
- 日本経済新聞「<ステップアップ>家計簿使わず支出振り返り」
- 日本経済新聞「<ステップアップ>手間なく全体像を把握」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
