「106万円の壁」撤廃から始まり、「20時間の壁」「扶養控除の見直し」「退職所得控除の縮小」など、私たちの働き方・老後資金に直結する改革が続いています。
これらは単なる制度変更ではなく、家計設計を根本から見直す契機でもあります。
短期的には「手取り減少」、長期的には「保障や年金の充実」という構図のなかで、家庭ごとに最適な戦略を考える必要があります。
働き方に合わせた収入戦略
まず意識すべきは「どこまで働くか」の選択です。
- 週20時間未満で扶養内を維持
→ 手取り重視・短期安定型 - 週20時間以上で社会保険加入
→ 将来の年金・保障重視型 - フルタイムや副業を組み合わせる
→ 長期資産形成型
家庭のライフステージに応じて「短期の手取り」と「長期の安心」をどうバランスさせるかが鍵になります。
老後資金づくりの3本柱
退職金や年金制度が変わるなか、老後資金は 「公的年金+企業年金+自助努力」 の3本柱で備える必要があります。
- 公的年金
最低限の生活を支えるベース - 企業年金・退職金
勤務先によって差が大きくなるため、転職時に制度を確認 - 自助努力(iDeCo・NISAなど)
税制優遇をフル活用し、積立投資で長期資産形成
「制度に任せる」から「制度を活かして自分で準備する」時代に変わっています。
税制・社会保障の変化に対応する
今後の見直しは、家計にプラス・マイナス両方の影響を与えます。
- 扶養控除の縮小 → 世帯税負担が増える可能性
- 厚生年金加入拡大 → 保険料負担は増えるが将来年金は厚くなる
- 退職所得控除の見直し → 転職回数が多い人にはプラスに働く面も
つまり「短期的に負担増」でも「長期的に安心」が見込める場合もあるため、冷静にシミュレーションすることが重要です。
家計が今すぐできる備え
改革が続く時代に、家計として取れる具体的なアクションは次の通りです。
- ライフプラン表の作成
収入・支出・貯蓄・年金見込みを見える化 - 制度活用のチェック
iDeCo・NISA・企業年金の加入状況を整理 - 働き方の選択肢を検討
扶養内・社会保険加入・副業などを家族で話し合う - 退職金・企業年金の確認
転職予定があるなら将来の退職金・年金額も比較材料に - 生活防衛資金の確保
3〜6か月分の生活費をまずは現金で確保
まとめ
これからの時代、
- 「壁を意識して働き控える」よりも
- 「制度を理解して自分に合う働き方を選ぶ」
という姿勢が家計に求められます。
社会保障制度は大きく変わり続けますが、備え次第で不安は安心に変えられるのです。
👉 次回は、制度改革を背景にした 「人生100年時代のライフプランニングの新常識」 をテーマにまとめたいと思います。
(参考 2025年9月6日付日経新聞朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
