年末の大掃除や久しぶりの帰省をきっかけに、実家に物が増えすぎていると感じた経験はないでしょうか。高齢の親が暮らす住まいでは、日常生活に支障が出るほど物がたまってしまうことも珍しくありません。
実家の片付けは、単なる掃除ではなく、終活の一環として重要な意味を持ちます。本稿では、実家の片付けを早めに進める必要性と、家族だけで難しい場合の業者活用の考え方を整理します。
実家の片付けが後回しになりやすい理由
親が元気なうちは、子ども側も片付けに踏み込みにくいものです。物には思い出があり、捨てる判断を巡って親子間で意見が食い違うこともあります。また、遠方に住んでいる場合は、帰省のたびに少しずつ片付けても、なかなか終わりが見えません。
その結果、親の死亡後に大量の家財が残され、空き家のまま放置されてしまうケースも少なくありません。
生前整理は家族のためだけではない
生前整理は、残された家族の負担軽減だけを目的とするものではありません。
高齢になると、床に置かれた物につまずいて転倒するリスクが高まります。住まいの中が整理されていないこと自体が、ケガや事故につながる要因になります。また、いざという時に備えて、通帳や重要書類、貴重品の保管場所を家族が把握しておくことも重要です。
子どもが片付けを手伝う過程で、こうした情報を自然に共有できる点も、生前整理の大きな意義といえます。
家族だけで無理をしないという選択
実家の片付けは、想像以上に時間と体力を要します。荷物の量が多い場合や、長年手を付けられていない家では、家族だけで対応するのが難しいこともあります。
そのような場合には、生前整理や遺品整理を専門とする業者の利用も現実的な選択肢です。間取りや荷物量によって費用は大きく異なり、高額になるケースもありますが、短期間で一気に整理できる点は大きなメリットです。
業者に依頼する際のチェックポイント
業者に依頼する場合は、必ず複数社から見積もりを取ることが基本です。
人件費、運搬費、不用品処分費などの内訳が明確か、追加料金が発生する条件が妥当かを確認する必要があります。不用品の処分については、一般廃棄物処理業の許可を持つ業者が関与しているか、買い取りを行う場合には古物商の許可があるかも重要な確認ポイントです。
また、買い取りやリユースを組み合わせることで、処分費用を抑えられる場合もあります。
伴走型サービスという考え方
一度にすべてを片付けるのではなく、専門スタッフが定期的に訪問し、整理の進め方を助言しながら一緒に進めるサービスもあります。
「必要な物」「不要な物」「判断保留」と分類しながら進めることで、心理的な負担を軽減できる点が特徴です。ただし、重い家具の移動や処分が含まれない場合もあるため、サービス内容の確認は欠かせません。
結論
実家の片付けは、親が元気なうちに、親子で少しずつ進めることが理想です。放置すればするほど、時間的・金銭的・心理的な負担は大きくなります。
家族だけで抱え込まず、必要に応じて専門業者や支援サービスを活用することも、賢い終活の一部といえるでしょう。実家の片付けは、これからの生活と将来への備えを見直す大切な機会です。
参考
・日本経済新聞「<ステップアップ>実家の片付け 親子で早めに」
・SBIいきいき少額短期保険 終活に関するアンケート調査
・東京消防庁 高齢者の事故発生状況に関する統計
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
