子育て世帯への住宅ローン控除が拡充――2025年度税制改正のポイントをわかりやすく解説

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2025年度の税制改正では、「住宅ローン控除の子育て世帯等に対する上乗せ措置」が引き続き適用されることになりました。これは、住宅価格の上昇が続くなかで、子育て世帯や若年夫婦の住宅取得を支援する目的があります。特に、省エネ住宅や認定住宅といった環境性能の高い住宅を対象として、控除対象借入限度額を拡大する仕組みです。

子育て世帯への上乗せ措置とは

住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の一定割合を所得税などから控除できる制度です。近年は住宅価格や建築コストの上昇が続き、若い世帯にとってマイホーム取得のハードルが高まっています。こうした状況を踏まえ、2025年度改正では、2024年度に引き続き「子育て世帯」や「若者夫婦世帯」に対して控除対象借入限度額の上乗せが行われます。

具体的な上乗せ後の限度額は次のとおりです。

住宅区分改正前改正後(子育て世帯等)改正後(その他)
認定住宅4,500万円5,000万円4,500万円
ZEH水準省エネ住宅3,500万円4,500万円3,500万円
省エネ基準適合住宅3,000万円4,000万円3,000万円

※子育て世帯等とは、18歳以下の扶養親族がいる世帯、または本人・配偶者のいずれかが39歳以下の世帯を指します。

このように、最大500万円の上乗せが認められることで、住宅購入時の負担軽減効果がより高まります。省エネ性能の高い住宅ほど限度額が大きく設定されており、環境と家計の両面に配慮した政策設計となっています。

住宅ローン控除の主な適用条件

住宅ローン控除を受けるためには、次の条件をすべて満たす必要があります。

  • 取得後6カ月以内に本人が居住していること
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上であること
  • 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 床面積が50㎡以上で、1/2以上が居住用であること
     (ただし、2025年末までに建築確認を受けた新築住宅で、合計所得金額1,000万円以下の場合は40㎡以上でも可)
  • 入居年を含む前後2年ずつの5年間に、3,000万円控除などの居住用財産特例を受けていないこと

中古住宅の場合は、これらに加えて「現行の耐震基準に適合していること」なども条件となります。特に中古住宅では、耐震適合証明書や既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書などが求められるケースがあります。

忘れがちな「確定申告」も重要

住宅ローン控除を初めて受ける年は、勤務先の年末調整ではなく、必ず確定申告を行う必要があります。2年目以降は勤務先での年末調整で控除を継続できますが、初年度に申告を忘れると控除を受けられません。特に共働きの場合は、どちらの名義で控除を受けるか(住宅ローンの契約名義・持分割合など)を確認しておくことが重要です。

結論

2025年度税制改正による住宅ローン控除の拡充は、住宅取得を検討する子育て世帯・若年夫婦にとって大きな支援策といえます。省エネ性能の高い住宅を選択することで、経済的なメリットと環境貢献の両立が可能になります。適用条件や確定申告の手続きを確認し、制度を最大限に活用することが大切です。

出典

財務省「令和7年度税制改正(令和7年3月)」/日本FP協会「トレンドウォッチ」No.1534


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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