2026年4月から、会社員や公務員が加入する公的医療保険に「子ども・子育て支援金」が上乗せされる予定です。児童手当の拡充や妊娠・出産時の給付金などの財源を確保するためで、いわば「社会保険料の中に組み込まれる新しい仕組み」です。
政府は「実質的な負担は増えない」と説明していますが、本当にそうなるのか、家計にはどんな影響があるのかを整理してみます。
制度の仕組み
今回の支援金は、健康保険の保険料に 0.24%程度を上乗せ して徴収されます。
健康保険料は「標準報酬月額」という給与額の等級をもとに計算されるため、支援金の金額も収入に応じて変わります。
- 月収50万円の人 → 支援金は月600円(労使折半、個人負担分)
- 事業主と合わせると1,200円(会社が600円、本人が600円)
なお、ボーナス(3回以下の賞与)は標準報酬月額に含まれないため、月給ベースで計算されるのが基本です。
実際の負担額イメージ
こども家庭庁の試算によると、収入ごとの負担額は以下のようになります。
- 年収600万円の会社員 → 2026年度:月600円、2028年度:月1,000円
- 年収800万円の会社員 → 2026年度:月800円、2028年度:月1,350円
つまり、段階的に負担が増えていく見通しです。
自営業者など国民健康保険の加入者や、75歳以上が対象の後期高齢者医療制度では、自治体ごとに計算方法が異なるため、地域差が出る可能性があります。
政府の説明と現実的な課題
政府は「社会保障改革や賃上げで実質的な負担は増えない」と説明しています。これは、同じ金額だけ医療費の効率化や社会保険料の削減を進め、さらに賃金上昇で相殺するという考え方です。
しかし、現実にはハードルが高い状況です。
- 2026年度までに 6,000億円の歳出削減 が必要
- そのうち4,400億円は確保済みだが、残り1,600億円を年末予算編成で捻出しなければならない
- さらに2028年度までに、毎年2,000億円ずつ追加で削減する必要がある
社会保障費の自然増や高齢者医療への拠出金の増加も続いており、健保組合の財政はすでに厳しい状況です。
今後の焦点
子ども・子育て支援金は、2028年度には 年間1兆円規模 に拡大します。
ただし、
- 与野党の調整(野党は制度導入に反対してきた経緯あり)
- 健保組合の財政悪化(解散や保険料率上昇が続く)
- 賃上げの実現性(本当に手取りが減らないのか)
といった課題が山積しています。
政府が説明する「実質的な負担は増えない」という前提が崩れれば、家計にとっては確実に新しい負担となるでしょう。
まとめ
- 2026年4月から健康保険料に0.24%程度の上乗せ → 月収50万円で月600円負担
- 年収600万なら月600円 → 28年度には1,000円に増加予定
- 政府は「負担増にならない」と説明するが、財政改革や賃上げが前提
- 健保組合の財政はすでに逼迫、今後の政治情勢も不透明
少子化対策の財源確保は急務ですが、働く世代の手取りをどう守るかが最大のポイントです。
📌 出典
日本経済新聞「子育て支援金0.24%上乗せ 健保団体試算」(2025年10月3日)
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という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
