外貨積立の始め方(ネット証券別の特徴と選び方)

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円安や物価上昇が続く中、「資産の一部を外貨で持っておきたい」という人が増えています。
とはいえ、外貨を一括で購入するのはタイミングの難しさもあり、為替変動を均すために「外貨積立(ドルコスト平均法による定期買付)」を利用する人が増加しています。
ただし、外貨積立はネット証券によって手数料や通貨の種類、設定できる金額などが大きく異なります。本稿では、外貨積立の基本から、主要ネット証券の特徴をわかりやすく整理します。

1. 外貨積立とは何か

外貨積立は、外貨(主に米ドル)を一定の頻度で自動購入する仕組みです。

■ 外貨積立のメリット

・為替タイミングを気にせず購入できる
・ドルコスト平均法で取得単価が平準化する
・長期保有と相性が良い
・MMFや外国株式など外貨投資の「種銭」をつくりやすい

■ 外貨積立のデメリット

・手数料が高い証券会社もある
・円高局面では含み損が出る
・外貨だけに偏るとリスクが高い

外貨積立はあくまで「分散の一部」。
外貨だけに集中せず、資産全体でバランスを取りながら利用することが大切です。


2. 最低限押さえるべき「外貨積立の比較ポイント」

外貨積立を選ぶ際は、次の3つが重要です。

(1) スプレッド(為替手数料)

外貨積立のコストの中心は「スプレッド」です。
特に米ドルはネット証券ごとの差が大きく、長期の積立では手数料差が大きな結果の違いを生みます。

(2) 積立頻度

・毎日
・毎週
・毎月
など、証券会社によって設定できる頻度が異なります。

(3) 外貨積立した後に「何に使うか」

外貨を保有するだけでなく、
・外貨MMF
・外国株
・ETF
に回す場合は、同じ証券会社内で完結する方が管理がしやすくなります。


3. ネット証券別:外貨積立の特徴まとめ

以下では、主要ネット証券の特徴を「外貨積立の使いやすさ」という観点で整理します。
(手数料は執筆時点の一般的な水準をもとに構成)


■ SBI証券

外貨積立の王道。積立なら最も低コストの部類。

特徴

・外貨積立のスプレッドが最安水準(米ドル片道2銭台の時期も)
・毎日・毎週・毎月の積立が可能
・住信SBIネット銀行との連携で外貨振替が容易
・積立した外貨をそのまま米国株・ETFに投資可能

メリット

・最安クラスの手数料
・米国株投資と相性が良い
・自動積立の柔軟性が高い

デメリット

・設定項目が多く初心者にはやや複雑


■ 楽天証券

ポイント還元と米国株の豊富さが魅力。

特徴

・楽天銀行との連携で操作がシンプル
・外貨積立は毎月設定が中心
・ポイントサービスが強い
・外貨を米国株・ETFにスムーズに利用可能

メリット

・管理画面がわかりやすい
・楽天経済圏との相性が良い

デメリット

・スプレッドがSBIより少し広い
・積立頻度が柔軟ではないケースがある


■ マネックス証券

米国株に強く、外貨を直接使える場面が多い。

特徴

・米国株の品揃えに強み
・外貨積立は米ドル中心
・毎日積立が可能
・外貨資金から米国株を買う場合のコストが低い

メリット

・米国株を「ドル建てで買う」人に最適
・手数料水準が比較的低め

デメリット

・積立対象通貨が限られる
・外貨預金の用途が米国株に偏りがち


■ 松井証券

初心者向けのシンプル設計。

特徴

・最低限の機能をわかりやすく設計
・スプレッドは一般的な水準
・外貨積立よりも外国株投資に比重

メリット

・画面がシンプルで使いやすい
・投資初心者でも迷わない

デメリット

・積立の細かな設定が少ない
・外貨関連サービスは他社より限定的


■ PayPay証券

少額から外貨を触ってみたい人に向く。

特徴

・1,000円程度から積立可能
・アプリ完結で操作が簡単
・厳密な「外貨積立」というより、外貨投資の入門向け

メリット

・ごく少額から始められる
・アプリで管理しやすい

デメリット

・スプレッドは高め
・本格的な外貨運用には向かない


4. 初心者が失敗しないための注意点

■ (1) 一括購入は避ける

為替は読めないため、積立で平均化するのが基本です。

■ (2) 外貨比率を高くしすぎない

一般的には総資産の10〜30%程度が妥当です。

■ (3) 証券会社を頻繁に乗り換えない

積立途中で移管が難しいため、最初に慎重に選ぶことが大切です。

■ (4) 使い道(米国株・MMFなど)から逆算して選ぶ

「使う先」がその証券会社にあるかどうかが決定的に重要です。


結論

外貨積立は、円安・インフレの時代に資産の安定性を高める一つの手段ですが、ポイントは「どのネット証券で行うか」です。
スプレッドや積立頻度、外貨の使い道(米国株・ETF・MMFなど)は証券会社ごとに大きく異なるため、
・SBI証券:低コストと柔軟性
・楽天証券:ポイントとわかりやすさ
・マネックス証券:米国株重視
・松井証券:初心者向け
・PayPay証券:少額から試したい人

といった特徴を踏まえつつ、自分の投資スタイルに合うところを選ぶことが大切です。

外貨積立は長期で続けることで力を発揮するため、無理のない金額・シンプルな設定から始めることをおすすめします。


出典

・各証券会社公開資料(外貨積立サービス説明、手数料体系など)
・為替市場動向(IMF、日銀公表資料)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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