令和8年11月1日から、外国人旅行者向け消費税免税制度は「リファンド方式」へと移行します。
従来の制度では免税店が税抜価格で商品を販売する仕組みでしたが、新制度では税込価格で販売した後、出国確認を経て消費税相当額を返金する仕組みになります。
制度の基本構造は比較的シンプルですが、実務の観点では、免税店側に新しい対応が求められる点も少なくありません。
特に、販売記録の管理、返金手続の設計、外部事業者との連携など、制度変更に伴う準備が必要になります。
本稿では、リファンド方式への移行に向けて免税店が確認しておくべき実務上のポイントをチェックリスト形式で整理します。
リファンド方式の基本フローの確認
まず、免税販売の基本的な流れを理解することが重要です。
リファンド方式では、次の流れで免税が成立します。
- 免税店が税込価格で商品を販売する
- 購入記録情報を作成・保存する
- 旅行者が出国時に税関で持出確認を受ける
- 税関確認情報と購入記録情報を保存する
- 消費税相当額を旅行者へ返金する
この仕組みでは、従来の制度と異なり「販売時点では免税が確定しない」という点が重要です。
免税の成立は、あくまで出国時の持出確認を前提としています。
購入記録情報の管理体制
リファンド方式では、購入記録情報の管理が重要になります。
具体的には、次のような情報を適切に保存する必要があります。
- 購入者情報
- 購入日
- 購入商品
- 購入金額
- 免税対象情報
これらのデータは、税関の持出確認情報と紐付けて保存することが求められます。
そのため、免税販売管理システムやPOSシステムの改修が必要になる可能性があります。
返金方法の設計
リファンド方式では、返金方法について消費税法令で具体的なルールは定められていません。
そのため、免税店が自ら返金方法を設計する必要があります。
想定される返金方法としては、次のようなものがあります。
- 銀行振込
- クレジットカード送金
- アプリ送金
- 出国港での現金返金
返金方法によっては、旅行者の利便性や事務コストが大きく変わります。
そのため、顧客層や販売形態に応じて適切な方法を検討することが重要です。
外部事業者の活用
返金手続は、免税店自身が行うことも可能ですが、外部事業者に委託する方法もあります。
例えば、次のような業務を外部事業者に委託することが考えられます。
- 購入記録情報の送受信
- 税関データとの連携
- 返金処理
- システム運用
全国免税店協会では、返金に対応予定の承認送受信事業者の一覧が公表されています。
ただし、この一覧は国が業務を保証するものではありません。
事業者を選定する場合は、サービス内容や手数料、システム連携の可否などを慎重に検討する必要があります。
関連法令への対応
返金手続を自ら実施する場合、消費税法以外の法令にも注意が必要です。
特に重要なのは次の二つです。
資金決済法
返金方法によっては、資金移動業に該当する可能性があります。
その場合、資金移動業の登録が必要になることがあります。
犯罪収益移転防止法
返金を伴う取引は、特定取引に該当する場合があります。
その場合、本人確認などの対応が必要になります。
これらの法令は金融規制に関係するため、制度設計の段階で専門家への確認が必要となることもあります。
システム改修と運用体制
リファンド方式の導入に伴い、多くの免税店ではシステム対応が必要になると考えられます。
特に重要なのは次の点です。
- 免税販売データの管理
- 税関データとの連携
- 返金管理
- データ保存
また、店舗スタッフの教育も重要です。
新しい制度では販売時の説明内容や手続が変わるため、運用ルールを整理しておく必要があります。
結論
外国人旅行者向け消費税免税制度は、令和8年11月からリファンド方式へと大きく転換します。
この制度では、販売時点ではなく出国時の持出確認を前提として免税が成立するため、免税店には新しい実務対応が求められます。
特に重要なポイントは次の三点です。
- 購入記録情報と税関確認情報の管理
- 返金方法の設計
- 外部事業者や関連法令への対応
インバウンド市場の拡大が続く中、免税制度は小売業や観光業にとって重要な制度です。
リファンド方式の導入を契機として、免税販売の管理体制を改めて見直すことが求められています。
参考
税のしるべ
2026年3月9日
国税庁がリファンド方式の返金手続で情報等、返金対応の事業者一覧など案内
