士業広告はどう変わるのか シンポジウム「士業広告の展望」を踏まえて考える

税理士
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士業による広告がインターネットやSNSで広く見られるようになりました。弁護士や税理士、司法書士など専門家の情報発信は、依頼者にとって大切な判断材料になります。その一方で、過度な期待を持たせる表現や過剰なアピールが問題視されるケースも増えています。こうした中、士業の広告をどのように適正化していくべきかを議論する場が設けられました。

本記事では、士業広告の現状や課題、そして今後の方向性について、12月8日に開催されるシンポジウム「士業広告の展望」の内容を踏まえて整理します。

1 士業広告の適正化に向けた動き

士業の業務広告の適正化に取り組む一般社団法人「士業適正広告推進協議会」(士推協)が、広告の健全化に向けた議論を進めています。同協議会は、品位を欠く広告や、依頼者に過度な期待を抱かせる誤解を招く表現を避け、業界全体の信頼性向上につなげることを目的として活動しています。

その一環として開催されるシンポジウム「士業広告の展望」では、弁護士や司法書士などの有資格者が登壇し、SNS時代の士業広告のあり方について意見交換が行われます。特に、インターネット広告の急増に伴うリスクや課題が主要テーマとなります。

2 SNS広告が抱える課題とリスク

近年、士業によるSNS広告は一般の情報発信と同じ流れの中で急速に広がっています。しかし、専門性が高い分野でありながら、キャッチーな表現や過度な成果アピールに偏る広告も見受けられます。

7月に一般消費者300人を対象に行われたアンケートでは、否定的な印象として「うさんくさいと感じた」と回答した人が84人にのぼりました。これは、依頼者の心理に不安を与える広告が一定数存在することを示しています。結果として、士業全体の信頼性を損ねる可能性もあり、業界としての対応が求められています。

3 「広告表現のバランス」をどう取るか

士業広告では、「専門家らしさ」と「分かりやすさ」を両立させることが重要です。専門用語が多すぎれば一般の人に伝わらず、逆に簡易すぎる表現や煽るような言い回しは、誤解を与えるリスクが高まります。

広告表現のバランスをどのように取るのか、どこまでが許容されるのかは、今後の議論の中心となります。特に、成果報酬型の記載や顧客の不安を強調する表現については、慎重な取り扱いが求められます。

4 士業に求められる情報発信の姿勢

情報発信が求められる時代だからこそ、士業側にも明確な姿勢と倫理観が必要になります。
例えば、以下の点は今後より一層重視されそうです。

  • 根拠のある情報のみを発信する
  • 実績や成果を誇張しない
  • 一般消費者にとって誤解を生む表現を避ける
  • 専門家としての公共的使命を意識する

SNSが普及した今、情報発信は強力な武器になりますが、その使い方を誤れば信頼を失うリスクも大きくなります。

結論

士業広告の適正化は、依頼者の保護と業界の信頼確保の両面から重要なテーマです。SNSやインターネット広告の普及により情報発信が容易になった一方、過度な表現や誤解を招く広告が問題視される状況も生まれています。

シンポジウム「士業広告の展望」では、これらの課題に対する具体的な議論が進められます。士業にとっても、一般消費者にとっても、より透明性が高く、安心して利用できる広告環境の整備が求められる時代になっています。

今後の議論や業界の動きを注視しつつ、自らの情報発信のあり方を見直す機会としたいところです。

出典

・日本経済新聞(2025年11月24日付)
・士業適正広告推進協議会 公表情報(開催案内など)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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