原油価格の値動きが、ここにきて急激に荒くなっています。
背景にあるのは、イラン情勢の緊迫化と、主要産油国による生産調整の先行き不透明感です。
一時は約半年ぶりの高値をつけた原油先物が、数日で急落する場面もあり、市場は神経質な展開を強いられています。
本稿では、今回の原油価格変動の要因を整理し、今後どのような点に注意すべきかを考えてみます。
原油市場で何が起きているのか
足元では、米国の原油指標であるWTI先物や、欧州指標の北海ブレント原油先物が短期間で大きく上下しています。
価格水準そのものよりも注目すべきは、「変動の大きさ」です。
市場が織り込む予想変動率は、約7カ月ぶりの高水準に上昇しています。
株式市場で言えば、いわゆる恐怖指数が高まっている状態に近く、原油市場でも不確実性が強まっていることを示しています。
イラン情勢がもたらす地政学リスク
今回の変動の最大の要因は、イランを巡る地政学リスクです。
国内では通貨安やインフレへの不満から反政府デモが続き、対外的には米国との緊張関係が再び強まっています。
米国は中東海域への軍事的プレゼンスを強化し、軍事行動も排除しない姿勢を示してきました。
この結果、市場では
・原油供給が途絶えるのではないか
・中東情勢が一気に不安定化するのではないか
といった懸念が意識され、原油価格には「リスクプレミアム」が上乗せされていたと考えられます。
交渉観測で一転する相場
ところが、その後に米国とイランの交渉再開観測が浮上します。
軍事衝突の可能性が後退するとの見方が広がったことで、市場は一気にリスクを織り戻しました。
その結果、短期間で原油価格が急落する展開となりました。
この動きは、原油市場がいかに「情勢次第」で振れやすいかを象徴しています。
実体需給が急変したわけではなく、あくまで「見通しの変化」による価格調整です。
OPECプラスの生産計画というもう一つの不安要因
もう一つの重要な材料が、OPECプラスの生産計画です。
足元では、原油生産は据え置かれていますが、4月以降の方針は白紙の状態です。
今後の会合で
・増産に転じるのか
・減産・据え置きを続けるのか
が議論されることになります。
仮に増産が決まれば、原油価格には下押し圧力がかかります。
一方、増産停止が続けば、イラン情勢と相まって価格上昇につながる可能性もあります。
今後の原油価格をどう見るか
当面の原油相場は、以下の二点に大きく左右されそうです。
・イランを巡る軍事・外交動向
・OPECプラスの生産方針
これらはいずれも、突発的なニュースで一気に市場心理が変わりやすい材料です。
そのため、価格水準以上に「変動リスクが高い局面」と認識しておくことが重要です。
結論
今回の原油価格の乱高下は、需給の変化というよりも、不確実性の高まりによるものです。
イラン情勢とOPECプラスという二つの材料が重なることで、市場は極めて神経質な状態にあります。
今後もしばらくは、上にも下にも振れやすい展開が続くと考えられます。
原油価格は、エネルギーコストや物価、企業収益にも影響を及ぼします。
相場の動きそのものだけでなく、「なぜ動いているのか」を冷静に見極める姿勢が、これまで以上に重要になっています。
参考
日本経済新聞
原油価格、イランに揺れる
予想変動率、7カ月ぶり高水準 米軍事行動巡り振れ大きく
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

