最近ニュースで「1ドル=151円」と聞いても、どこか慣れてしまったような気がしませんか?
でも実はこの水準、ここ数十年でもかなりの“円安”です。
私たちの生活にとっても、家計・投資の両面でじわじわと影響を及ぼしています。
では、円安が進むと何が起きるのか? そして、どう備えればいいのでしょうか。
■ 円安になると起きる「3つの家計インパクト」
① 食費・光熱費・ガソリン代が上がる
円安になると、海外からの輸入品が値上がりします。
食料品、衣料品、ガソリン、電気代など、私たちが日々使うものの多くは輸入に頼っています。
つまり円安は「家計のコストアップ要因」です。
② 海外旅行や留学費用が高くなる
円の価値が下がるということは、ドルやユーロを買うのにより多くの円が必要になるということ。
旅行や留学の費用が割高になります。
③ 逆に、輸出企業や海外資産を持つ人にはプラス
トヨタなど輸出企業の業績は円安で利益が増えやすく、株価が上がる傾向があります。
また、ドル建ての投資信託や米国株を持っている人にとっては、円換算で資産価値が増えるというメリットもあります。
■ ヘッジファンドの動きが円相場を左右
為替市場では今、世界中の投資家が円を売ってドルを買う動きを強めています。
特に「ヘッジファンド」と呼ばれるプロの投資集団が、AIやモデルを使って円売りを仕掛けています。
専門家の見立てでは、年末にかけてもう一段の円安(1ドル=155円前後)が起こる可能性もあるとのこと。
円安トレンドは短期的には落ち着いても、構造的に“円安が続きやすい時代”に入っていると言えそうです。
■ 円安時代の「家計防衛」3つの考え方
① 外貨や海外資産を少し取り入れる
日本円だけで資産を持つと、円の価値が下がるときに資産全体が目減りします。
たとえば、
- 米国株・先進国株インデックスファンド
- 為替ヘッジなしの海外債券ファンド
などを少しずつ取り入れることで、円安に強い資産構成になります。
② 輸入インフレを想定した「家計予算」を
食料品や日用品は上がりやすくなります。
その分を踏まえて「生活防衛費(現金)」を少し厚めに確保しておくと安心。
家計簿アプリなどで支出傾向を“見える化”しておくのも有効です。
③ 住宅・保険・ローンは「固定金利」も選択肢
長期的な円安が続くと、いずれ日本でも金利が上がる可能性があります。
変動金利の住宅ローンを使っている人は、固定金利への切り替え検討もタイミングです。
■ NISAで考える「円安を味方にする投資戦略」
2024年に始まった新しいNISA制度は、非課税で長期投資ができる最強の制度。
円安局面では、海外資産をNISAで積み立てることで、為替変動を「チャンス」に変えることができます。
🔹ポイント①:海外株・グローバル分散を意識
円安=海外資産の円換算額が上がるため、
- 米国株インデックス(S&P500など)
- 全世界株インデックス
といった投資信託は、円安局面でも資産を守りやすい傾向にあります。
🔹ポイント②:「円高」になっても焦らない積立投資
為替は短期的に上下します。
一時的に円高に戻っても、毎月コツコツ積み立てることで平均購入単価を下げられます。
「タイミングを気にせず続ける」のが長期投資のコツです。
🔹ポイント③:「円安+物価高」の時代に強いテーマ
たとえば、
- インフラ・エネルギー・素材関連
- 海外で成長するテクノロジー企業
など、世界経済の成長に連動する分野に分散しておくと安心です。
■ 円安時代に“守りと攻め”のバランスを
| 視点 | 守り(家計) | 攻め(投資) |
|---|---|---|
| 通貨 | 円の現金を厚めに | 外貨・海外株に分散 |
| 金利 | 固定金利を検討 | 長期積立で平均化 |
| 物価 | 支出の見直し | インフレに強い資産へ |
円安は悪いことばかりではありません。
仕組みを知り、正しく備えることで、家計の防衛と資産形成の両立ができます。
💬 まとめ:円安は“ピンチ”ではなく“転換点”
- 円安で家計コストは上がるが、投資チャンスも広がる
- 海外資産を一部取り入れて通貨分散を
- 新NISAを活用して「円安に強い資産づくり」を
- 家計の見直しと投資のバランスを大切に
為替の変動は誰にもコントロールできません。
けれど、自分の家計と資産は自分で守れる。
その第一歩が、円安のニュースを“他人事”ではなく“自分ごと”として考えることです。
出典:2025年10月17日 日本経済新聞朝刊「ポジション ヘッジファンド、一段の円安試す」ほか
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
