働く世代が支える“共助の税制”とは― 「負担」ではなく「循環」で考える未来の税と社会保障

人生100年時代
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■「支える側が報われる社会」へ

「社会保障のために増税」と聞くと、多くの人が疲弊感を覚えます。
現役世代は所得税・社会保険料・消費税の“三重負担”に苦しみ、
「自分たちは損をしている」と感じる人も少なくありません。

しかし、2040年に向けた社会設計では――

“支える人ほど報われる”仕組みが求められています。

税や保険料を「奪われるもの」ではなく、
“次に回る投資”として設計し直す。
それが「共助の税制」の基本発想です。


■給付付き税額控除:働く人を支える“逆転の仕組み”

「給付付き税額控除(EITC:Earned Income Tax Credit)」とは、
所得が一定以下の人に対して、税金を減らすだけでなく、差額を給付する仕組みです。

日本でも高市政権の重点政策として導入検討が進んでおり、
低所得の子育て世帯や非正規労働者を直接支援する方向で議論が進んでいます。

🔹 仕組みのイメージ

年収納税額給付額実質の支援効果
400万円以上通常課税なし
300万円減税適用一部還付可処分所得+数万円
200万円以下減税ゼロ+給付数十万円給付実質的な所得補填

この制度の本質は、

「働くほど、報われる社会」。

単なる福祉給付ではなく、
労働と税の連携を通じて“働く意欲”を高める仕組みなのです。


■共助保険:保険料を「社会の株式」に変える

次に注目されるのが、「共助保険」という新しい考え方です。

現行の社会保険は、
「払っても戻らないかもしれない」という“片道構造”。
しかし、共助保険では、支払うこと自体に社会的リターンが生まれます。

🔹 共助保険の3原則

  1. 保険料が地域・教育・医療の投資に使われる
  2. 支援先の成果がデータで“見える化”される
  3. 支払者にも社会的ポイント・控除などの形で還元

つまり、保険料を“社会参加のチケット”と捉える発想です。
企業・個人・自治体が支え合い、成果を共有する。
これは税制というより、“社会的リターン制度”に近い仕組みです。


■働く年金:70歳までの共働設計

2040年の年金制度のキーワードは、「働く人が得をする年金」。

すでに導入されている「在職老齢年金」の見直しにより、
65歳以降も働き続ける高齢者が減額を受けにくくなっています。
さらに、70歳までの雇用確保が企業に努力義務化された今――

「働く=支えながら受け取る」時代が到来しています。

🔹 将来の「働く年金」モデル

年齢雇用形態給付の扱い支援の方向性
60歳〜64歳再雇用・短時間勤務年金一部支給+給与併用雇用継続税制
65歳〜69歳フリーランス・副業年金満額支給+事業所得社会保険料軽減
70歳以降自由契約・地域貢献年金+共助ポイント医療・介護連携支援

働くことで年金が減る時代から、

働くことで「年金+社会ポイント」が増える時代へ。

“支えられる高齢者”から“支える高齢者”への転換が進んでいきます。


■共助の税制が生む「循環社会」

共助の税制とは、一方向の再分配ではなく、双方向の循環です。

支える人 → 支えられる人 → 次の世代 → 再び支える人

このサイクルを生み出すためには、
「見える化」「透明性」「信頼」の3つが欠かせません。

🔹 これからの税制の方向

テーマ現状2040年の方向性
給付現金・補助金中心税・給付の自動調整制
負担保険料と税の二重構造「共助税」一本化
信頼不透明な再分配AIによる支援データ公開
働き方正社員中心副業・フリーランス連携

つまり、税制が“働き方の多様化”を支える社会インフラになるということです。


■FP・税理士の視点:共助税制は「人生設計とリンクする税」

税制の方向性が「再分配」から「循環」へ変わるとき、
FPや税理士の役割は、制度設計の翻訳者になります。

  • 給付付き税額控除を活用した所得支援
  • 共助保険料の最適化と社会投資設計
  • 高齢期の働き方と年金・税の両立プラン

いずれも、「制度を知っているかどうか」で
10年後の可処分所得と安心感が大きく変わります。

共助税制時代では、税理士は“納税支援者”から“生活設計アドバイザー”へと進化します。


■まとめ:「負担」ではなく「貢献」へ

税や保険料を“取られるもの”と感じる社会は、もう続きません。
これからは――

「支える=貢献する」
「納める=社会をデザインする」

という意識の転換が求められます。

共助税制とは、単なる財政改革ではなく、
社会を信じ合う力の再構築

働く世代が報われ、
高齢世代が支え、
次の世代が希望を持てる――

そんな“循環する社会”が、2040年の新しい約束(ソーシャル・コントラクト)です。


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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