これまでの記事で、GLTD(団体長期障害所得補償保険)の仕組みや税制上の扱いを整理してきました。
今回は「健康経営」という観点から、GLTDがどのように企業価値の向上につながるのかを解説します。
健康経営とは?
経済産業省が推進する「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営課題としてとらえ、戦略的に取り組むことを指します。
単なる福利厚生ではなく「人的資本投資」として、株主や投資家からも注目されています。
- 2023年3月期からは大企業に人的資本の情報開示が義務化
- 「健康経営優良法人認定制度」が整備され、社会的評価や融資条件に直結
- 従業員の健康増進が、生産性・離職率の低下・採用力強化につながる
GLTDが健康経営に寄与する理由
- 働けなくなった時の安心を提供
- 病気やケガで収入が途絶えるリスクを補償することで、従業員が安心して働ける環境を整備。
- 精神的ストレスの軽減
- 「もし働けなくなったらどうしよう」という不安が減少。メンタルヘルスの安定にも寄与。
- 認定制度の評価ポイント
- GLTDは「健康経営優良法人」の評価項目の一つを満たす仕組み。
- 導入すれば認定獲得につながり、企業の社会的評価が上がる。
保険会社の取り組みと健康経営
大手損保はGLTDを「単なる保険」にとどめず、健康経営支援の一環として提供しています。
- 東京海上日動:健康診断の再検査を促す企業に対し、保険料を割引
- 損保ジャパン:休職中も積立投資を継続できるよう金融サービスと連携
- 三井住友海上・あいおいニッセイ:ストレスチェックの提供で心の健康をサポート
「予防」や「資産形成支援」と結びつけることで、健康経営全体を支援しています。
税理士・FPの視点
- GLTD導入は「コスト」ではなく「投資」として評価すべき。
- 経営的には、離職率の低下・採用コスト削減につながる可能性が高い。
- 財務的にも「健康経営認定」を受けることで、資金調達や株主からの評価がプラスになる。
つまり、GLTDは福利厚生+企業ブランディング+財務戦略を兼ね備えた施策なのです。
まとめ
- 健康経営は人的資本投資として企業の必須課題になりつつある
- GLTDは従業員の安心と企業の社会的評価を両立させる制度
- 保険会社も健康診断やストレスケアなど、付加価値サービスを拡大中
👉 次回(第5回)は、企業と従業員それぞれのメリット・デメリットを整理して、GLTDを導入する際のポイントを考えていきます。
(参考 2025年9月9日付 日経新聞朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
