1. 中央銀行の行動から読み取れること
世界の中央銀行が再び金を積み増している現実は、個人投資家にとって大きなヒントになります。ポーランドが外貨準備の3割を金に引き上げ、中国やアジア新興国が買い増しに動く背景には「ドル不信」と「安全資産志向」があります。
個人投資家も同様に、資産の一部を「通貨に左右されにくい資産」に振り分けることでリスクを抑えることが可能です。
2. 金投資の具体的なアプローチ
金投資といっても方法はさまざまです。
- 現物(金地金・コイン)
価値保存性が高いが保管コストや盗難リスクが課題。長期保有向き。 - ETF(上場投資信託)
少額から投資可能で流動性も高い。売買の手軽さが魅力。 - 投資信託・積立型商品
毎月コツコツ積み立てることで価格変動リスクを平準化できる。 - 金鉱株や金関連ファンド
金価格以上の値動きが期待できるが、企業業績や資源価格の影響を強く受ける。
重要なのは「どれか一つ」ではなく、自分の資産状況や投資目的に合わせて組み合わせることです。
3. 金だけに依存しない分散戦略
金は確かに安全資産として注目されていますが、それだけに依存するのは危うい選択です。過去には金価格が長期低迷した時期もありました。
個人投資家にとって大切なのは、株式・債券・不動産(REIT)などとのバランスを保つこと。例えばポートフォリオの「5〜10%程度を金に振り向ける」といった形で、全体のリスクを和らげるのが現実的です。
4. 新興国の動きと個人投資への示唆
中国がAIを駆使して金鉱開発を強化し、人民元建て金取引を拡大していることは、世界の秩序の変化を示しています。
ドルだけでなく人民元やユーロ、そして金に資金が分散していく流れは、個人投資家にとって「ひとつの通貨や市場に依存しないこと」の重要性を改めて教えてくれます。
5. これからの数年を見据えて
著名投資家レイ・ダリオ氏が語る「大きな変動」の可能性は、決して大げさではありません。地政学リスクや金融不安が続くなかで、基軸通貨ドルの優位性はじわりと薄れています。
だからこそ、個人投資家は「短期の相場観」に振り回されるのではなく、 長期的な資産防衛の視点 を持つことが不可欠です。金投資はその一手段にすぎませんが、ドル不信が広がる時代においては確実に存在感を増しています。
まとめ
- 中央銀行の金購入は「ドル依存からの脱却」の象徴。
- 個人投資家も金をポートフォリオに一部組み入れることでリスク分散が可能。
- 金投資の方法は現物・ETF・積立など多様で、目的に応じて使い分ける。
- 「金だけに頼らず、他資産と分散」するのが現実的な戦略。
- 来るべき「通貨Gゼロ」時代に備え、長期視点の資産形成が重要。
👉参考:日本経済新聞 2025年9月22日付 朝刊
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
