住宅購入で後悔しないために 「問題不動産」にしない・させない視点

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住宅は、多くの人にとって人生で最も高額な買い物の一つです。住まいとしての快適さだけでなく、将来売却したり、子どもに引き継いだりできるかどうかまで含めて考える必要があります。
ところが現実には、「貸せない」「売れない」「どうにも動かせない」不動産を抱えて困っている人が少なくありません。こうした不動産は、いわゆる「問題不動産」と呼ばれます。
この記事では、住宅購入時に気をつけたいポイントと、すでに所有している不動産を問題不動産にしないための考え方を整理します。

「問題不動産」とは何か

問題不動産とは、一言でいえば利活用や処分が難しい不動産です。
住む、貸す、売るといった選択肢が現実的に取れない状態では、不動産は資産として機能しません。背景にはさまざまな要因がありますが、特に注意すべきなのが「境界」「名義」「道路」の三つです。

境界が不明確な土地では、測量ができず売却や建て替えが進みません。名義が先代のまま放置されている土地では、相続人が増え、全員の同意を得るだけで膨大な時間がかかります。道路に適切に接していない土地では、建築基準法上の制限により建て替えができない場合があります。
これらはいずれも、購入時には見落とされがちですが、将来になって深刻な問題として表面化します。

法律違反と実務上の問題

問題不動産は、「法律上の問題があるもの」と「法律違反ではないが実務上支障が大きいもの」に分けて考えることができます。

代表的な法律上の問題は、接道義務違反や違法建築です。建て替えができない土地や、建築確認を受けていない増築部分がある建物は、金融機関の住宅ローンが使えず、売却が難航します。
一方で、建築当時は合法だったものが、法改正により現在の基準を満たさなくなった「既存不適格」の建物もあります。違法ではありませんが、将来の建て替えでは制約を受ける点に注意が必要です。

境界未確定や相続登記未了といった問題は、直ちに違法ではありません。しかし、いざ売却や相続の場面になると、大きな障害となります。特に相続登記を長年放置すると、相続人が増え、事実上解決が困難になるケースもあります。

住宅購入時に確認したいポイント

これから住宅を購入する場合、土地と建物それぞれについて確認すべき点があります。

土地については、境界杭がそろっているか、境界確認書が作成されているかを必ず確認します。境界があいまいなままの土地は、将来問題不動産になる可能性が高いといえます。

建物については、新築の場合、建築確認後に完了検査を受けて発行される検査済証が重要です。中古住宅では、制度の違いから検査済証がないケースもありますが、その場合は建物状況調査を専門家に依頼することで、リスクを把握できます。

あわせて、住宅性能評価書の有無や、長期優良住宅などの認定状況も確認すると、住宅の品質や将来性を判断する材料になります。

災害リスクと重要事項説明

立地選びでは、災害リスクを軽視してはいけません。ハザードマップを確認し、浸水や土砂災害のリスクを把握しておくことは、将来の資産価値にも直結します。

また、契約前に交付される重要事項説明書は、必ず内容を理解するようにしましょう。物理的、法的、環境的、心理的な瑕疵については、購入判断に大きく影響します。不明点は遠慮せず確認することが大切です。

すでに所有している不動産への向き合い方

すでに不動産を所有している場合も、問題不動産を防ぐことは可能です。
境界は明確か、相続登記は済んでいるか、違法な増築はないか、建物の劣化状況や修繕計画はどうなっているか。こうした点を定期的に点検することが重要です。

不動産は、時間が経つほど問題が複雑化し、解決コストも高くなります。早めに専門家へ相談し、できるところから手当てをしていく姿勢が求められます。

結論

住宅購入では、「今住めるか」だけでなく、「将来どうなるか」という視点が欠かせません。
境界、名義、道路といった基本的なポイントを押さえることで、問題不動産になるリスクは大きく減らせます。
不動産は、次の世代に引き継がれる可能性のある資産です。自分の代で整理し、安心して引き継げる状態にしておくことが、これからの時代にはより重要になっていくでしょう。

参考

・日本FP協会会員向けコラム「『問題不動産』にしない・させないために」
・国土交通省 建築基準法・住宅性能評価制度に関する資料

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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