中古戸建て住宅を購入するときに「住宅診断(ホームインスペクション)」を活用する人が増えています。診断の目的は「欠陥の有無を調べる」ことだけではありません。修繕費の目安を把握し、購入後の資金計画を立てやすくすることも大きなメリットです。今回は、住宅診断でよく見つかる不具合と、その補修費の目安について整理します。
よく見つかる不具合① 外壁・屋根の経年劣化
中古住宅で最も多い指摘が、外壁や屋根のひび割れ・塗装劣化です。
- 雨水の浸入を防ぐ塗膜が劣化
- コーキング(目地材)のひび割れ
- 屋根材の割れやズレ
【補修費目安】
- 外壁再塗装:80万〜150万円(30坪前後の戸建て)
- 屋根補修・葺き替え:50万〜200万円(材質や面積による)
よく見つかる不具合② 断熱材や床下の問題
床下は湿気がたまりやすく、断熱材のはがれ・シロアリ被害・カビなどが見つかることがあります。
- シロアリ予防・駆除:10万〜30万円
- 断熱材補修:数万円〜十数万円
- 床下換気・防湿工事:30万〜60万円
【ポイント】
床下や屋根裏は点検口から覗くだけではわからないため、専門業者が潜って調査するオプションをつけると安心です。
よく見つかる不具合③ 設備機器の寿命
中古住宅では、水回り設備(キッチン・浴室・給湯器など)が交換時期を迎えていることが多いです。
- 給湯器交換:15万〜40万円
- システムキッチン交換:50万〜150万円
- ユニットバス交換:60万〜150万円
これらは「すぐに交換が必要」か「まだ使えるが数年内に更新が必要」かを診断で把握できます。
診断結果を踏まえた予算組みのコツ
中古住宅の購入価格だけでなく、
- 即時に必要な補修費
- 2〜3年内にかかる更新費
- 長期的なメンテナンス費
を見積もることが重要です。
FPとしての視点では、「購入価格+初期修繕費+数年後の更新費」 を合計して、総予算を決めることをおすすめします。
「診断拒否」の物件には要注意
前回の記事でも触れましたが、売り主が診断を拒否する物件は慎重に検討しましょう。
- 重大な欠陥が隠れている可能性
- 値引き交渉が難航する可能性
「買ってから直せばいい」ではなく、買う前にリスクを見える化することが重要です。
まとめ
住宅診断は、中古戸建て購入の「保険」的な存在です。
- よく見つかる不具合は外壁・屋根・床下・設備機器
- 補修費は合計で数十万〜数百万円かかることも
- 診断で把握し、資金計画に反映することが安心への近道
次回は、中古住宅購入時に使える税制優遇(住宅ローン控除や耐震基準)について整理します。お楽しみに!
📌 参考:
日本経済新聞朝刊(2025年10月4日付)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
