住宅価格高騰は止められるのか――空き家活用という現実的な処方箋

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マンションを中心に住宅価格の高騰が止まりません。東京23区では新築マンションの平均価格が1億円を超え、かつて「年収の5倍までが目安」と言われていた住宅取得の感覚は、もはや現実に合わなくなっています。
住宅価格の上昇は、家を買う人だけの問題ではありません。賃貸家賃の上昇や住宅ローン返済の長期化を通じて、家計全体に影響を及ぼし、生活の固定費を押し上げています。
では、住宅価格高騰に対して有効な対策はあるのでしょうか。本稿では、価格上昇の背景を整理したうえで、「空き家活用」という視点から現実的な処方箋を考えます。

住宅価格はなぜここまで上がったのか

住宅価格高騰の最大の要因は、建設コストの上昇です。資材価格や人件費の高騰に加え、建設現場の人手不足が深刻化し、新築マンションの供給戸数は減少傾向にあります。
新築価格が上がれば、需要は中古住宅に流れます。その結果、中古マンション価格も上昇し、さらに賃貸住宅の家賃も引き上げられます。維持管理にかかる人件費や修繕費の増加が、家賃に転嫁されているためです。
こうして住宅市場全体が連動して押し上げられ、住居費は多くの世帯にとって重い固定費となっています。

高騰は都市部だけの問題ではない

住宅価格の高騰は、東京だけの現象ではありません。
新築マンション価格が平均年収の10倍を超える地域は全国に広がっており、大都市圏からその周辺、さらには地方都市にも波及しています。
その結果、新築住宅は高所得者層や共働きで世帯年収が高い層、親からの資金援助を受けられる層でなければ手が届きにくくなりました。住宅取得のハードルは、確実に上がっています。

外国人投機は主因なのか

住宅価格高騰の原因として、外国人による投機的取引が挙げられることがあります。
確かに、短期間で転売されるマンションの割合は増えており、特にタワーマンションなどの大規模物件では投機的な動きが目立ちます。
ただし、海外に住所を持つ人が取得した物件の割合は限定的であり、投機の主役を外国人と決めつけるのは適切ではありません。国内投資マネーも含めた構造的な問題として捉える必要があります。
業界団体による転売規制などの取り組みは一定の前進ですが、価格高騰を抑える決定打にはなっていないのが実情です。

国と自治体の対策の現状

政府は税制改正を通じて、中古住宅向けの支援策を拡充しています。環境性能の高い住宅を対象に住宅ローンの借入限度額を引き上げ、減税期間を延ばすといった措置です。
また、東京都では「アフォーダブル住宅」として、相場よりも低い家賃で住める住宅の供給を始める計画があります。
ただし、これらの施策は供給戸数が限られており、住宅市場全体に与える影響は限定的です。多くの人が実感できるほどの効果を上げるには至っていません。

空き家という見過ごされてきた選択肢

住宅価格対策の中で、決定打になり得るのが空き家の活用です。
都市部を含め、空き家は年々増えていますが、売却や賃貸に回る動きは鈍いのが現状です。その背景には、固定資産税の軽減措置があります。
住宅が建っている土地は税負担が軽くなるため、「使わなくても持ち続けた方が得」という判断が働きやすくなっています。
一定期間利用されていない住宅については、こうした優遇措置を見直し、市場に出るインセンティブを高める必要があります。実際、自治体レベルでは空き家税や空室税といった独自課税を検討・導入する動きも出てきました。

新築偏重からリフォーム重視へ

空き家活用を進めるには、新築偏重の住宅政策からの転換も欠かせません。
住宅ローン減税についても、新築取得だけでなく、リフォームやリノベーションを重視する設計が求められます。既存住宅を活かしながら住環境を改善する方が、価格高騰の抑制と居住の選択肢拡大の両立につながります。

結論

住宅価格高騰は、単なる需要の問題ではなく、供給構造と制度設計の歪みが生み出した結果です。
減税や補助金だけでは限界があり、既存住宅、とりわけ空き家をどう市場に循環させるかが重要な鍵になります。
空き家を「問題」として放置するのではなく、「資源」として活用する。その発想の転換こそが、住宅価格を落ち着かせる現実的な処方箋と言えるのではないでしょうか。

参考

・日本経済新聞「住宅価格高騰、対策はある? 空き家有効活用後押しを」
・日本経済新聞「地方自治体は独自対策も」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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