仮想通貨投信が日本にも登場へ 金融庁の制度改正と投資家への影響をわかりやすく解説

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日本でも、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)を組み入れた投資信託が登場する可能性が高まっています。金融庁は制度改正に向けて動き始め、国内の大手運用会社も相次いで商品化を検討しています。すでに米国では仮想通貨ETFへの資金流入が大きく、日本でも投資の選択肢として存在感が高まるとみられます。

本記事では、制度改正の背景、投資信託としての仮想通貨の特徴、そして投資家が知っておきたい注意点を整理します。

1. なぜ今「仮想通貨投信」なのか

仮想通貨はこれまで、投資信託法の規制によって投信へ組み入れることが認められていませんでした。しかし、金融庁は仮想通貨を資金決済法の枠組みから金融商品取引法の対象へ移す方針を示しています。

これは以下の二つを両立するためです。

  • 投資対象としての位置づけを明確化する
  • 投資家保護の制度を整える

制度が変われば、株式や債券と同じ金融商品として仮想通貨を扱うことが可能になり、投信へ組み入れられる道が開けます。

その結果、証券会社の口座から仮想通貨投信を購入できるようになり、投資の裾野が大きく広がると考えられます。


2. 大手運用会社が続々と検討へ

日本経済新聞によると、野村アセット、SBIグローバル、アセマネOne、大和アセット、三菱UFJアセットなど 6社が商品化を検討中 です。

SBIグローバルはビットコインやイーサリアムの単独投資だけでなく、複数の仮想通貨を組み合わせた投信も計画し、将来的には運用残高5兆円をめざすとしています。

また、仮想通貨の価格指数を自前で開発し、透明性の高い運用をめざす企業も出てきています。

運用会社が前倒しで準備する背景には、以下の課題に早期に対応する必要があるためです。

  • 基準価額の算出方法
  • 売買規模に対応した仮想通貨の調達体制
  • 盗難・流出などに備えた安全策

制度解禁と同時に商品を投入できるよう、各社が体制整備を進めています。


3. 税制も「金融所得課税」へ移行する可能性

制度改正と並んで大きな論点が、仮想通貨の税制 です。

現在は最大55%の総合課税(雑所得)となっているため、投資家にとって税負担が重い構造です。金融庁は、仮想通貨を株式や投資信託と同様の 金融所得課税(20%) に移すよう求めています。

税制改正が実現すれば、次のようなメリットが生まれます。

  • 税率が大幅に下がる
  • 他の投資と損益通算できる可能性
  • NISAとの連動の議論が進む可能性

税制と制度改正がセットで進むことで、仮想通貨投信の普及に追い風となります。


4. 投資家が知っておくべきリスク

仮想通貨は成長性が注目される一方、リスクの大きさも特徴です。

  • 価格変動が非常に大きい
    ⇒ 株式や金よりもボラティリティが高い
  • 長期運用でも値動きが激しい
    ⇒ 投資額を限定するなど慎重な配分が必要
  • ハッキング・流出リスク
    ⇒ 信頼できる運用会社・保管体制が重要
  • 市場・制度の歴史が浅い
    ⇒ 法改正の影響を受けやすい

専門家も「投資先の一部として保有する」といった慎重なバランスが必要だと指摘しています。


5. 生活者にとってのメリット

制度改正が実現して仮想通貨投信が普及すれば、次のような選択肢が生まれます。

  • 証券口座から購入できるため利便性が高い
  • 直接ウォレットを管理しなくて良い
  • 長期運用(積立)をしやすくなる
  • 税制面の改善で取り組みやすくなる

「貯蓄から投資へ」が進む中、新しいアセットクラスとして注目が集まっています。


結論

仮想通貨投信は、日本でも数年以内に登場する可能性が高い金融商品です。制度改正と税制見直しが進むことで、これまでの「理解しづらい・扱いにくい」というイメージが変わり、一般の投資家でも取り組みやすい仕組みが整っていくと考えられます。

ただし価格変動が非常に大きい資産である点は変わりません。長期の資産形成に活用する場合でも、ポートフォリオの一部にとどめるなど、過度に集中しない運用が重要です。

制度の行方を注視しながら、自分に合った資産形成の選択肢として上手に取り入れていきたいところです。


出典

  • 日本経済新聞「仮想通貨投信、日本でも」(2025年11月19日)
  • 金融庁 発表資料
  • 米SEC ETF関連データ

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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