令和8年10月改正 非居住者向け国内不動産取引と消費税の見直し

税理士
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令和8年度税制改正大綱において、非居住者が国内不動産を取得する際の仲介手数料等の消費税の取扱いが見直されることとなりました。

近年、海外投資家による国内不動産の取得が増加する中で、課税の公平性や国際的な整合性の観点から制度改正が行われます。本稿では、その内容と実務上の留意点を整理します。


現行制度の取扱い

現行法では、国内に所在する不動産の売買に関する仲介手数料等について、取引の相手方が非居住者である場合には、輸出取引に類するものとして消費税が課税されていません。

一方で、不動産管理手数料については、国内で直接便益を享受する役務の提供と整理されており、相手が非居住者であっても消費税は課税されています。

このように、同じ不動産関連サービスであっても、仲介か管理かによって取扱いが異なるという状況にありました。


改正の内容

令和8年10月1日以後に行われる資産の譲渡等から、非居住者が国内に所在する不動産の売買等を行う際に負担する仲介手数料等は、居住者に対する場合と同様に消費税の課税対象となります。

つまり、

・相手が非居住者であっても
・国内に所在する不動産に関する役務であれば

輸出免税の適用対象から除外され、消費税が課税されることになります。

これは、国内に持ち出すことができない不動産という性質上、その経済的効果が国内に帰属することを重視した見直しです。

また、居住者とのイコールフッティングを図る観点や、諸外国においても不動産の所在国で付加価値税等が課されていることが背景にあります。


経過措置

経過措置も設けられています。

令和8年3月31日までに締結した契約に基づき、令和8年10月1日以後に資産の譲渡等を行った場合には、改正後の規定は適用されません。

実務上は、

・契約締結日
・引渡日や役務提供日

を正確に確認することが重要になります。


「不動産に関する権利に類するもの」も対象に

改正は単なる不動産売買の仲介手数料にとどまりません。

自民党税制調査会資料では、「不動産に関する権利に類するもの」に係るサービスも、サービスを受ける者の居住地にかかわらず課税対象とすることが示されています。

具体例として、

・鉱業権
・租鉱権
・採石権
・試掘権
・樹木採取権
・公共施設等運営権
・漁業権
・入漁権

などが挙げられています。

これらの権利に係る役務提供についても、内外判定基準の整備が行われる見込みです。資源開発や公共インフラ関連ビジネスを扱う事業者にとっては、影響が及ぶ可能性があります。


実務への影響と留意点

今回の改正は、不動産会社や仲介業者にとっては請求実務の変更を伴います。

特に留意すべき点は以下のとおりです。

  1. 非居住者向け案件の税区分の見直し
  2. 契約締結日ベースでの経過措置の判定
  3. システム設定・請求書様式の変更
  4. インボイス対応の整合性確認

また、海外投資家側にとっても取得コストの上昇要因となります。価格交渉や手数料設定への影響も想定されるため、事前説明が重要です。


結論

令和8年10月から、非居住者に対する国内不動産売買の仲介手数料等は、原則として消費税の課税対象となります。

不動産は国外に移転できない資産である以上、その関連サービスも国内で課税するという方向に制度が整理された形です。

実務では、契約日・適用開始日・対象役務の範囲を正確に押さえ、誤った免税処理を行わないよう注意が必要です。

非居住者案件を扱う事業者は、今のうちから取扱いの確認と社内周知を進めておくことが求められます。


参考

税のしるべ
2026年2月16日号
令和8年度税制改正大綱関連解説記事

令和8年度税制改正大綱(自民党税制調査会資料)

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