日本銀行によるマイナス金利政策の解除以降、住宅ローンを取り巻く環境は大きく変わりつつあります。これまで長く続いてきた超低金利のもとでは、変動金利型を中心に、頭金をほとんど入れずに住宅を取得するケースも珍しくありませんでした。しかし、金利上昇が現実味を帯びるなかで、従来と同じ感覚で住宅ローンを組むことには注意が必要になっています。
本記事では、最新の調査結果をもとに、頭金なし、あるいは高い融資率で住宅ローンを組んでいる人の割合を確認しつつ、金利上昇局面において住宅ローン契約時に考えておきたいポイントを整理します。
住宅ローン利用者の約4割が高い融資率
住宅金融支援機構が2025年6月に公表した住宅ローン利用者の実態調査によると、住宅価格に対する融資額の割合、いわゆる融資率が90%超100%以下の層は26.5%、さらに住宅価格を超えて借り入れている100%超の層は13.5%に達しています。
この結果から、住宅ローン利用者全体の約4割が、90%以上の融資率で住宅を取得していることが分かります。
融資率が100%を超えるケースは、いわゆるフルローンや諸費用ローンを含めた借り入れが多く、自己資金をほとんど用意せずに住宅を取得している状態といえます。超低金利環境では返済負担が軽く感じられたかもしれませんが、金利が上昇すれば、その影響を最も受けやすい層でもあります。
融資率と金利の関係
融資率が高くなるほど、金融機関が負うリスクは大きくなります。そのため、フラット35などの全期間固定型住宅ローンでは、融資率が90%を超えると金利が上乗せされる仕組みが設けられています。
金利水準が上昇傾向にある局面では、この金利上乗せが返済総額に与える影響は小さくありません。頭金を十分に用意できない場合、住宅価格そのものを抑える、あるいは購入時期を慎重に検討することも、選択肢の一つとして考える必要があります。
金利タイプの選択状況
同調査では、住宅ローンの金利タイプについても明らかにされています。最も多かったのは変動型で79.0%、次いで固定期間選択型が12.2%となっています。
全期間固定型を選択した人は少数派であり、多くの人が金利変動リスクをある程度許容したうえで住宅ローンを組んでいる状況がうかがえます。
変動型は当初の金利が低い点が魅力ですが、将来の金利上昇によって返済額が増加する可能性があります。特に借入額が大きく、融資率が高い場合には、家計への影響はより深刻になりがちです。
金利上昇局面で考慮したい三つのポイント
今後の住宅ローン契約にあたっては、次の三つの視点が重要になります。
金利タイプの選択
金利上昇リスクを避けたい場合、変動型だけでなく全期間固定型も選択肢に含めることが大切です。全期間固定型は、契約時点では変動型より金利が高いものの、将来の金利変動に左右されず、最終的な返済総額が確定するというメリットがあります。
総支払額が多少多くなったとしても、将来の不確実性を抑えたい人にとっては、安心感を重視した合理的な選択といえます。
借入額の抑制
住宅ローンは、借入額が大きくなるほど金利上昇時の影響が拡大します。フルローンや高い融資率での借り入れは、返済リスクを高める要因となります。
頭金をできる限り用意する、住宅価格を抑える、諸費用を自己資金で賄うなど、借入額そのものを減らす工夫が重要です。
借り換えと繰り上げ返済の余地を残す
変動型や固定期間選択型を利用する場合、将来金利が上昇した際に、固定金利への借り換えや繰り上げ返済ができる余地を残しておくことが欠かせません。そのためには、住宅購入後も一定の預貯金を確保し、家計に余裕を持たせておく必要があります。
結論
金利上昇局面においては、住宅ローンの組み方がこれまで以上に将来の家計を左右します。最新の調査結果からは、頭金を十分に入れず、高い融資率で住宅を取得している人が少なくない現状が浮かび上がっています。
今後は、金利タイプの選択、借入額の抑制、将来の見直し余地を意識した資金計画がより重要になります。住宅ローンは長期間にわたる契約であるからこそ、目先の金利だけでなく、金利上昇後の姿を想定した慎重な判断が求められます。
参考
・住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査 住宅ローン利用者調査 2025年4月調査
・日本銀行 金融政策に関する公表資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

