なぜ中小企業にとっても重要なのか
「介護と仕事の両立支援」というと、大企業の福利厚生を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、従業員数が少ない中小企業ほど、 1人が介護で離職すると大きな影響 が出ます。
経済産業省の推計では、2030年にビジネスケアラーは318万人に増加。働き盛りの世代の多くが介護に直面することになります。
だからこそ、中小企業でも無理のない範囲で支援を取り入れることが重要なのです。
取り入れやすい支援のアイデア
1. 柔軟な勤務制度
大規模な制度改革をせずとも、 勤務時間や場所の柔軟性 を持たせるだけで従業員の負担は大きく減ります。
- 時短勤務やフレックスタイム
- 在宅勤務や一部リモートワーク
- 通院付き添いなどでの中抜けを認める
👉 「就業規則を一部改訂するだけ」で始められるのがメリットです。
2. 外部サービスとの連携
中小企業が自前で支援窓口を作るのは難しいですが、外部の仕組みを利用すれば負担を抑えられます。
- 地域包括支援センターやケアマネとの連携
- 民間介護相談サービスの契約(福利厚生代行サービス経由も可)
- 保険外サービスの費用補助(スポット利用分だけでも効果大)
👉 経産省が進める「介護両立支援ハブ」では、複数企業で共用できる相談窓口やセミナーが実証実験されています。地域単位で活用できる仕組みを探すのもポイントです。
3. 情報提供の仕組み
「どこに相談すればいいかわからない」という不安を解消するだけでも安心感は大きいです。
- 社内ポータルに「介護支援制度」や「相談窓口リスト」をまとめる
- 月1回の社内通信で介護に関する情報を発信する
- 介護経験者の声を共有する「社内座談会」を開く
👉 費用をかけずに始められる「情報整備」から取り組むのが現実的です。
4. 小さな福利厚生としての支援
大きな予算がなくても「気持ちの支援」を形にすることができます。
- 保険外サービスを使う際に「利用額の一部(1回5,000円まで)」を会社が補助
- 親の介護で出張や会議参加が難しい場合、交通費や宿泊費の上限を緩和
- 「介護と仕事の両立」を表彰・評価の対象にする
👉 小さなサポートでも「会社が理解してくれている」という安心感につながります。
中小企業だからできる強みもある
実は、中小企業の方が 意思決定が早く、柔軟に動ける という強みがあります。
従業員数が少ないからこそ、一人ひとりの事情に合わせた対応が可能です。
- 例:ある製造業の会社では、介護中の社員に「繁忙期だけ時間シフト勤務」を導入し、結果的に離職を防ぐことに成功。
- 例:ある小売業では、社長自ら「介護支援担当」として相談を受け、社員が安心して働き続けられる雰囲気をつくった。
こうした取り組みはコストをかけずとも実現可能で、「社員を大切にする会社」というブランドにもつながります。
まとめ ― 介護支援は「人材確保策」
介護支援は福利厚生の一環というだけでなく、 人材を守るための戦略 です。
特に人手不足が深刻な中小企業にとっては、従業員が安心して働き続けられる仕組みづくりが会社の存続にも直結します。
👉 まずは「柔軟な勤務制度」や「情報提供」など、できることから始める。
👉 そのうえで「外部サービスとの連携」や「小さな福利厚生」を加える。
こうしたステップで、無理なく両立支援の仕組みを広げていくことができます。
👉参考:日本経済新聞(2025年9月20日付 夕刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
