中古住宅を選ぶときに見落としてはいけないポイント―価格高騰時代の「安全性」と「納得感」のチェックリスト―

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住宅価格の高騰が続くなか、新築ではなく中古住宅を検討する人が増えています。特に都市部では、新築マンションの価格が大きく上昇し、中古物件であっても高値圏での取引が常態化しています。
中古住宅は価格面での選択肢が広がる一方で、建物の状態や管理状況、将来の安全性など、自分で確認すべき点が多いのも事実です。焦って購入を決めてしまうと、後から「こんなはずではなかった」と感じるリスクもあります。
この記事では、中古マンション・中古戸建てを検討する際に押さえておきたい基本的なチェックポイントを整理し、価格だけでは判断できない視点を確認します。

中古住宅でまず確認したい「建物の状態」

中古住宅で最初に意識すべきなのは、建物そのものの劣化状況です。
戸建て住宅では、雨漏りやシロアリ被害が代表的なリスクとして挙げられます。天井や壁に水の染みがないか、室内に下水のような臭いがしないかは、内見時に必ず確認したい点です。また、外壁や基礎部分のひび割れも重要なチェック項目です。
ひび割れ自体は直ちに危険とは限りませんが、幅が大きい場合や深く入り込んでいる場合は、構造部分に影響している可能性があります。判断に迷う場合は、専門家による住宅診断を利用することで、見えない部分まで含めた客観的な評価を得ることができます。

マンションは「共用部分」が将来を左右する

中古マンションの場合、専有部分だけでなく共用部分の状態が重要です。
ゴミ置き場や駐車場、防災倉庫などがきちんと管理されているかを見ることで、管理組合が機能しているかをある程度判断できます。
管理組合の運営が不十分なマンションでは、将来の大規模修繕が適切に行われない可能性があり、結果として資産価値や住み心地に影響が出ることもあります。
また、管理規約の内容にも注意が必要です。リフォームや改装に厳しい制限が設けられている場合、購入後に思い描いていた住まい方が実現できないケースもあります。

耐震基準と建築時期の確認

安全性の観点で見落とせないのが、建築時期と耐震基準です。
現在の耐震基準は、1981年6月以降に適用された新耐震基準が基本となっています。マンションであれば1981年5月以前、木造戸建てであれば2000年5月以前に建てられた物件は、耐震性について追加確認が必要です。
古い物件でも、その後に耐震改修が行われていれば問題ない場合もあります。購入前に、改修の有無や内容を確認しておくことが重要です。

災害リスクと周辺環境は必ず確認する

建物だけでなく、その立地が持つリスクにも目を向ける必要があります。
地震だけでなく、近年は豪雨や台風による水害リスクも高まっています。ハザードマップを確認し、浸水想定区域や土砂災害警戒区域に該当していないかを事前に把握しておきたいところです。
また、内見の際は物件だけを見て帰るのではなく、周辺を歩いてみることが大切です。治安や騒音、交通量などは、時間帯によって印象が大きく変わることもあります。

「売る理由」を確認する意味

中古住宅では、売り主がなぜ手放すのかを確認することも重要です。
転勤や住み替えなど、合理的な理由であれば特段問題はありませんが、近隣トラブルや建物に関する問題が背景にある可能性も否定できません。
直接聞きづらい場合は、不動産会社を通じて確認することも可能です。明確な理由が示されない場合には、慎重に判断する姿勢が求められます。

マンションと戸建て、価格差の背景を理解する

近年は、マンションの方が戸建てよりも価格が高いケースが一般的になっています。
これは、マンションが駅近など利便性の高い立地に集中していることが大きな要因です。一方、戸建ては敷地や居住面積が広い反面、立地の利便性では劣る場合もあります。
将来の売却のしやすさを重視するのか、居住空間の広さを重視するのかによって、最適な選択は変わります。

結論

中古住宅選びでは、価格や立地の魅力に目を奪われがちですが、安全性や管理状況、災害リスクなど、時間をかけて確認すべき点が数多くあります。
特に価格高騰局面では「早く決めないと買えない」という心理が働きやすくなりますが、焦りは判断を誤らせる要因になりかねません。
中古マンションか戸建てかという二択ではなく、自分や家族がどのような暮らしを送りたいのか、将来の変化も見据えたうえで、納得できる選択をすることが重要です。住宅は単なる買い物ではなく、長期にわたる生活の基盤であることを改めて意識したいところです。

参考

・日本経済新聞「マネー相談 黄金堂パーラー 中古住宅の選び方(上)チェック項目」
・日本経済新聞「中古住宅は『売る理由』に注意」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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