不動産STの税務上の注意点― 個人投資家が見落としやすいポイント ―

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不動産を小口化し、少額から投資できる仕組みとして注目されている不動産ST(セキュリティ・トークン)。
株式や投資信託に近い感覚で投資できる一方、税務上の取り扱いは必ずしも直感的ではありません。

本記事では、個人投資家が不動産STに投資する際に、特に注意しておきたい税務上のポイントを整理します。

不動産STは「不動産」ではなく「有価証券」として扱われる

最初に押さえておきたいのは、不動産STの税務上の位置づけです。

不動産STは、実物不動産そのものを所有しているわけではなく、
不動産から生じる収益等を受け取る権利を表章した有価証券として扱われます。

このため、
・不動産所得
・譲渡所得(不動産)

とは異なる税務処理になります。

分配金の課税関係

不動産STから受け取る分配金は、原則として「雑所得」として課税されます。

給与所得者や年金受給者の場合、
他の雑所得と合算して総合課税の対象となる点に注意が必要です。

特に、
・年金受給中の人
・副収入が増えてきた人

では、想定以上に税率が上がるケースがあります。

源泉徴収の有無に注意

不動産STの分配金には、源泉徴収が行われるケースと、行われないケースがあります。

源泉徴収が行われない場合、
・自分で確定申告が必要
・住民税の申告漏れに注意

といった実務上のリスクが生じます。

「少額だから大丈夫」と思い込まず、
年間の受取額と申告要否を必ず確認することが重要です。

売却時の課税関係

不動産STを売却した場合の利益は、
原則として「譲渡所得(有価証券)」として扱われます。

ここで注意したいのは、
・長期・短期といった不動産の区分は適用されない
・株式と同様の感覚で考えると誤解が生じやすい

という点です。

売却益が出た場合は、
分配金とは別枠で所得計算を行う必要があります。

損失が出た場合の取り扱い

不動産STで損失が出た場合、
他の所得とどこまで相殺できるかは重要なポイントです。

一般的には、
・給与所得や年金所得との損益通算は不可
・雑所得内での通算にとどまる

と考える必要があります。

「不動産だから節税になる」といったイメージで投資すると、
期待と現実が大きくずれる可能性があります。

相続・贈与時の注意点

不動産STは、相続や贈与の場面でも注意が必要です。

評価は、
・実物不動産ではなく
・金融資産としての評価

が基本となります。

そのため、
相続税評価や分割方法が、従来の不動産とは異なる形になることがあります。

デジタル資産であるため、
・相続人が存在を把握できるか
・管理方法をどう引き継ぐか

といった実務面も重要です。

「不動産感覚」で考えることの落とし穴

不動産STは、
見た目は不動産投資でも、税務上は金融商品に近い性格を持っています。

そのため、
・減価償却による節税
・不動産特有の特例

といった発想は基本的に通用しません。

仕組みを理解せずに投資すると、
税金面で思わぬ誤算が生じる可能性があります。

結論

不動産STは、個人投資家にとって新しい投資機会を広げる一方で、
税務上は従来の不動産投資とは異なる注意点があります。

重要なのは、
「何に投資しているのか」だけでなく、
「税務上はどう扱われるのか」を理解したうえで判断することです。

少額投資であっても、
税務の基本を押さえておくことが、長期的な資産形成につながります。

参考

・日本経済新聞 不動産ST・不動産投資関連記事
・金融商品・有価証券に関する税務解説資料
・不動産証券化・デジタル証券に関する専門資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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